調査報道 新世紀 File6
中国・流出文書を追う
(2023年・NHK)
NHK-総合 NHKスペシャル
これが「調査報道」か?
数年前、中国のサイバーセキュリティー企業、i-Soonの機密文書が何者かによって公開されたことから、この企業によって世界中の行政府や企業の情報が集められ、中国の軍や政府にその情報が流されていたことが判明した。といっても、この機密文書の信憑性はにわかに判断できない。ということで、この機密文書の信憑性について、世界中の機関や研究者が動き、裏を取ろうという活動が進められている。
NHKもこれに参加したようで、一部の関係者に直撃取材も試みている。といっても、ほとんどの文書についてはすでに検証が行われているようで、EUによる対露政策の情報(非公開)が漏れていたことや、海外の国に意図的に偽情報を流して世論を誘導する(いわゆる認知戦)が行われていたことも明らかになっている。この番組でもそれについて紹介しているが、これをNHKの「調査報道」であるかのように主張するのは、お門違いのような気もする。

「調査報道」を名乗るならば、自ら集めた情報を使って自ら動くのが基本で、よそで集められた情報を紹介する番組で「調査報道」を名乗るのはいけないのではないかと思う。
『新世紀 File1』の項でも似たようなことを書いたが、同じことがこの番組にも当てはまる。「調査報道」というタイトルは、少なくともこの番組にふさわしくないと感じる。
★★★参考:
竹林軒出張所『中国“経済失速”の真実(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『オンラインカジノ 底知れぬ闇(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『盗撮・児童ポルノの闇(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『狙われる日本の機密情報(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『気候変動対策の“死角”(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『追跡“ペガサス”(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『サイバー攻撃の恐怖(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ウィキリークスを追う(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『顧客情報を盗んだ男(ドキュメンタリー)』