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竹林軒出張所

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『クリック・ベット』(ドキュメンタリー)

クリック・ベット
欧州 スポーツ賭博のワナ

(2023年・仏Arte France/Magneto)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

何も生み出しませんが
収奪だけさせていただきます


『クリック・ベット』(ドキュメンタリー)_b0189364_08210480.jpg インターネットを介したスポーツ賭博がヨーロッパで盛んになって大きな問題になっていることを訴えるドキュメンタリー。
 スポーツ賭博というと、大谷翔平の通訳をやっていた水原一平氏のことを思い出すが、あのケースをイメージすると全体像が掴みやすくなるかも知れない。一旦始めてしまうとやめられなくなるというのがネット賭博の特質で、インターネットを介していつでも利用できるという手軽さもそれに貢献している。
 こういったスポーツ賭博を事業として展開する業者がヨーロッパ中で幅を利かせており、しかも急成長しているらしい。その上、彼らはEU議会にしきりにロビー活動を行い、自分たちにとって有利な法律を通そうとするなどということも行っている。
 そういう活動が功を奏してか、スポーツ賭博業者がますます幅を利かせ、それにあわせてスポーツ賭博で大金を失う被害者が激増しているのが現状という。そもそもどのようなものであっても、博打は必ず胴元が儲かるようになっており、それに参加する側は一時的に儲かることがあっても長い目で見ればほとんどの人間は金を巻き上げられて終わる。このドキュメンタリーで扱われるスポーツ賭博業者については、常に大損をするような客を上級顧客として優遇し、博打で勝つ傾向にある客については退場を促すようなこともやっていて、売上(というより巻き上げ金)を伸ばしている。『クリック・ベット』(ドキュメンタリー)_b0189364_08205949.jpgそのためほぼすべての「客」は大金を巻き上げられ、しかもやめることができないため、あるいは借金しあるいは家庭崩壊しという結末に辿り着く。潤うのは賭博業者のみで、それ以外の誰も幸せにならない事業である。早い話が詐欺または窃盗の類の行為であり、こういうものが野放しになっていること自体が問題なのであるが、実際にはこういう業者がスポーツチームやイベントのスポンサーになって広告を出しているため、スポーツ関連事業者にとって認めざるを得ない側面があるのだという。
 ただ、このドキュメンタリーで扱われているスポーツ賭博業者のやり口は相当悪どく、先ほども言ったように、市民の金を収奪する以外に何の事業も行わず、(娯楽を含め)何ものをも生み出さない行為である。禁止してすべての財産を差し押さえ被害者に返すなどの措置を早々に取るのが、行政の役割ではないかと思うが如何。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『オンラインカジノ 底知れぬ闇(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『私、パチンコ中毒から復帰しました(本)』
竹林軒出張所『天使の入江(映画)』
竹林軒出張所『ミモザ館(映画)』
竹林軒出張所『僕らはそれに抵抗できない(本)』
竹林軒出張所『スマホ脳(本)』
竹林軒出張所『スマホ依存から脳を守る(本)』
竹林軒出張所『性犯罪をやめたい(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『「教えて★マーシー先生」って……』
竹林軒出張所『失踪日記2 アル中病棟(本)』
竹林軒出張所『実録! あるこーる白書(本)』
竹林軒出張所『飲んで死にますか やめて生きますか(本)』

by chikurinken | 2024-08-30 07:20 | ドキュメンタリー
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