天空の城ラピュタ(1986年・スタジオジブリ)
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
音楽:久石譲
出演:田中真弓、横沢啓子、寺田農、初井言榮、常田富士男、永井一郎、神山卓三、安原義人
完成度の高い「アニメならでは」の映画 ジブリの過去の映画を取り上げると「今さら」感が漂うが、先日久しぶりに通しで見たため取り上げることにする。子どもたちが小さいときにジブリ関連のビデオをよく見せており、そのとき一緒に見ることが多かったので、僕自身も「今さら」感が強いのだが、この映画はジブリ作品の中ではお気に入りの部類である。
公開時は劇場で見たが、そのときの印象は
『未来少年コナン』の焼き直しじゃねーかというもので、これはもちろん大筋では間違っていないが、しかし細部が非常によく描けていることから、1本の作品としての完成度は非常に高い。「焼き直し」と捉えるより「集大成」と捉える方が良いかも知れない。
また現れるガジェットが非常に奮っているのも『コナン』と同じで、昆虫の飛行構造を採用した飛行機や、植物に覆われた近代都市(ラピュタ)などは意外性があって、宮崎駿の本領発起と思わせるものがある。
ジブリ作品では、この後、素人の声優を起用することが多くなるが、この作品については、あまり奇天烈な起用はない。寺田農、初井言榮、常田富士男は基本的に俳優ではあるが、まったく違和感がないどころか、独特の味を出しており、結果的に大成功と言える(寺田農は宮崎駿と何度もぶつかったらしいが)。ストーリーも無理、無駄がなく、わかりやすい一本道であるのは、おそらく『未来少年コナン』という下敷きがあったせいだろうが、そういうことも相まってジブリ作品の中ではもっとも完成度が高い作品と言える。またアニメでなければ表現できない「アニメならでは」の要素も多く出てくるため、アニメであることの必然性も感じられる。そういう点で映画としても一流で、今見ても十分楽しめる傑作になっている。
★★★★参考:
竹林軒出張所『未来少年コナン (1)〜(12)(アニメ)』竹林軒出張所『未来少年コナン (13)〜(26)(アニメ)』竹林軒出張所『ルパン三世 カリオストロの城(映画)』竹林軒出張所『となりのトトロ(映画)』竹林軒出張所『魔女の宅急便(映画)』竹林軒出張所『崖の上のポニョ(映画)』竹林軒出張所『風の谷のナウシカ (1)、(2)(本)』竹林軒出張所『風の谷のナウシカ (3)〜(7)(本)』竹林軒出張所『パンダコパンダ(映画)』竹林軒出張所『ゲド戦記(映画)』竹林軒出張所『コクリコ坂から(映画)』竹林軒出張所『夢と狂気の王国(映画)』竹林軒出張所『ジブリと宮﨑駿の2399日(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『吾輩はガイジンである(本)』