ジャパニーズ・ドリーム
ネパール人留学生たちの日本
(2024年・NHK)
NHK-BS1 BSスペシャル
日本は組織的に詐欺を働く国になってしまった 日本に留学し大学を出て、その専門性を活かして日本で就職する、そして金を稼ぐ……そういうバラ色の未来を謳って、アジアの各国から日本に留学生を呼び込み、それで一儲けするというビジネスがここ数十年間、日本国内で隆盛だという。当初は中国がそのターゲットになり、多くの留学生を呼び込んだが、やがてその真相が広く知れ渡るにつれて留学生が減少していく。それに代わってターゲットになったのがベトナムであるが、やがてベトナムでもその実態が知れ渡り、留学希望者が激減していった。
普通に日本に住んでいれば、大学を出た日本人でさえ専門性を活かした仕事に就くことは難しく、大学でさえ、金がなければ出ることがきないということはすぐにわかる。アジアの途上国の人々が、日本在住の人々と金銭的に同等の条件になるわけがなく、ましてや言語的なハンディがあるわけで、普通に考えれば、留学生がその後日本企業に就職し成功するなとどいうことが簡単でないことは明白である。こんな明白なことであっても、バラ色の未来を提示されると人はそれに踊らされてしまう。
中国人、ベトナム人留学生が減ったことを承けて、ここ最近は、それに代わってネパール人留学生が増えているという。早い話が、いくつかの日本語学校が生徒を獲得するために、現地で勧誘しているらしいのである。以前は中国やベトナムで活動を行っていたが、先ほども書いたように真相がばれてしまって勧誘がうまく行かなくなったため、今はネパールにシフトしたということだ。
こういった一連の勧誘は、日本国内の状況を知っている我々から見ると、詐欺行為ににしか見えない。実際、バラ色の未来を見せられ、多額の借金をしてやっと訪れた日本には、バラ色の未来などなく、多くの留学生は、低賃金で酷使されて勉強する時間も取れずやがて潰されるという結果になる。多くの若者の未来を犠牲にして甘い汁を吸っているのは、彼らを騙して連れてくる「悪徳」業者である。食べていけなくなった者の中には犯罪に走る者も出てくるわけで、日本国内の治安悪化の要因にもなるわけだ。一部の業者の利益を社会全体で負担するということにもなりかねない(すでにもうそうなっているかも知れない)。
このドキュメンタリーでは、日本にやって来た留学生の現状を報告するんだが、これを見ると、こういった状況を野放しにしておくことがもはや許されない状況になっていることがわかる。一部の業者の詐欺的手法を徹底的に解明して処罰すべき時期に来ている。繰り返すが、ありもしないバラ色の未来を謳って金を出させるのは詐欺行為である。実際には、関係当局も、こういった詐欺行為を看過しているだけでなくむしろ容認しているフシがあるわけで、それを思うとこの国は本当に腐ってきていると感じる。先ほども書いたが、騙して連れてきた人々が食べられなくなれば犯罪に走るしかなくなるわけで、そうすると犯罪増の原因になるのは目に見えている。これまでも、食えなくなった留学生や「技能実習生」が起こした犯罪はあるわけで、他国に対して行った不当な行為は結局自分の国に跳ね返ってくるということだけは認識しておきたい。他者を犠牲にして自分だけうまくやっていこうなどとは考えるなよと思う。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『技能実習生が見たニッポン(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『脳残君ものがたり(本)』竹林軒出張所『中国 教育熱のゆくえ(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ホームレス大学生(ドキュメンタリー)』