鎮痛剤 オピオイド・クライシス
(2024年・NHK)
NHK-BS1 フランケンシュタインの誘惑
製薬会社だって嘘をつく
米国で問題になっている鎮痛剤、オピオイドを紹介するドキュメンタリー。
オピオイド系物質は、元々アヘンから生成された鎮痛剤であり、モルヒネやヘロインなどと同様、鎮痛目的で使用されるものであった。ところがパーデュー・ファーマという製薬会社が、依存症になる確率がきわめて低い(1%)という宣伝文句で「オキシコンチン」(オピオイド系鎮痛剤)という名前の錠剤型の薬剤を売り出し、米国内で広く医師に営業をかけたことから全米で爆発的に広がった。これが1990年代の話であるが、手軽である上、痛み止めとして医師が積極的に勧めたことから、使用量は急激に増大することになる。こういった薬物では、使っているうちに鎮痛効果が次第に小さくなるのが常であり、それを見越したパーデューは、含有量の多い錠剤まで広いラインナップで売り出したのだった。しかしこの薬、当然ながらアヘン由来の麻酔剤であることから鎮静作用があり、そして当然のことながら依存症を生み出すのだった。その上入手が実に簡単であったことから、多数のアヘン依存者が米国に現れることになり、同時にこの薬による中毒死も頻発する。

2010年代になり、オピオイド依存とオピオイド中毒が社会的な問題になり、米国政府もこの問題に手を付けることになる。同時に被害者側からパーデュー社に対して莫大な金額の民事訴訟が起こされ、結局パーデュー社は解散することになったが、いまだにオピオイド依存は米国の社会的な問題になっているという、そういう内容のドキュメンタリーである。
今回の事例は、薬剤会社を野放しにして好き放題させるとこれだけの問題を生み出すという恰好の例で、製薬は(たとえ営利事業であるにしても)社会事業であって、それに伴う責任感が必要だということを改めて思い出させる事件である。薬害については、ワクチンを含め、徹底的に断罪しなければ同じ悲劇が繰り返されることは今さら言うまでもないことであり、利用者が正しい情報を得た上で厳しい目を向けなければならない。こういうことを再確認させられるドキュメンタリーであった。
★★★☆参考:
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