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竹林軒出張所

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『指名手配:バンクシー』(ドキュメンタリー)

指名手配:バンクシー
正体不明のアーティストを追え

(2020年・仏Cross Borders Films/Scarlett Production)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

謎の芸術家、バンクシーのあれこれ

『指名手配:バンクシー』(ドキュメンタリー)_b0189364_09273996.jpg 謎の芸術家、バンクシーに関するドキュメンタリー。
 バンクシーについては、名前は聞いたことがあったが、その活動や作品(?)についてはまったく知らなかったため、非常に勉強になった。
 バンクシーは、2000年代にその落書きがあちこちの壁に描かれて注目を浴びるようになる。落書きといっても、街のあちこちに見られるような醜悪な独りよがりのペイントではなく、ウィットや皮肉が効いていてしかも絵としての水準も高いことから、注目を集め始めた。場合によっては政治的なメッセージが含まれたものもあり、知性的な雰囲気も漂う。ただし誰が描いたのかわかっておらず、その正体を突き止めようとする人々も当然のように現れる。
『指名手配:バンクシー』(ドキュメンタリー)_b0189364_09274719.jpg これまで何人かの人々(芸術家やミュージシャンなど)がバンクシーではないかと推定されたが、決定的なものはなく、いまだに正体不明という状況らしい。このドキュメンタリーには、以前バンクシーのエージェントをやっていたという人が登場したが、その人物によると、正体をくらますために意図的にフェイクニュースを流したりもしているようで、その用意周到さが窺われる。
 バンクシーの落書き作品は、ステンシルを使ったものであるため、描くのにはさほど時間がかからない。また作業は概ね昼間行われ、大勢の人々が通行する中で平然と行われるという。工事作業員のような恰好で平然と作業を行うため、誰も気付かないらしい。このあたりの裏のかき方もそれらしいと言えるか。作品だけではなく、活動自体が芸術と言えなくもない。
 短時間のドキュメンタリーだが、内容が濃く充実したもので、バンクシー周辺のことがよく理解できた。バンクシーについてよく知らない僕のような人間にとっては、恰好の入門編になった。
★★★☆

参考:
バンクシー公式ウェブサイト
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by chikurinken | 2024-03-04 07:27 | ドキュメンタリー
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