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竹林軒出張所

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男たちの旅路 第2部「冬の樹」』(ドラマ)

男たちの旅路 第2部「第2話 冬の樹」(1977年・NHK)
脚本:山田太一
演出:中村克史
出演:鶴田浩二、水谷豊、柴俊夫、桃井かおり、滝田裕介、川口敦子、竹井みどり、草野大悟、ゴダイゴ

今度は家庭教育の問題に踏み込んだ

男たちの旅路 第2部「冬の樹」』(ドラマ)_b0189364_18532684.jpg このドラマも見るのは今回で二度目か三度目だが、内容をまったく憶えていなかった。おかげで初見のような新鮮な気持ちで見ることができた。
 『男たちの旅路』シリーズの第5作に相当するドラマであるため、キャストは当然のことながらこれまでと共通。例によって、ガードマンである主人公の周辺で起こる事件がモチーフになる。この作品では、1人の女子高生(竹井みどり)と、それを扱いかねる両親との関わりがテーマになっており、ティーンエイジャーの孤独感や周囲との軋轢が描かれる。
 主人公の女子高生は、ロックバンド(ゴダイゴ)の追っかけをやっていて、会場への出待ちの際に失神してガードマンの吉岡(鶴田浩二)に自宅まで運ばれる。ところが家では父親が逆上して警備会社の責任を追及する有り様で、結果的に吉岡は停職に追い込まれることになるが、実はこの高校生とその両親との間にちょっとした問題があったという展開になる。
男たちの旅路 第2部「冬の樹」』(ドラマ)_b0189364_15525580.jpg ドラマの流れは自然でよどみなくスムーズに進み、あちこちに見どころもあって、今見ても十分楽しめる。大きな事件(少女売春斡旋)に繋がるような部分は蛇足のような気もするが、エンタテイメントのために入れられていると思えば納得もする。それより何より、『男たちの旅路』でティーンエイジャーの教育問題にまで切り込んだのはなかなか意欲的と感じる。この後の山田太一のドラマでも父娘関係がたびたび描かれるが、もしかしたらその走りになったのがこの作品と言えるのではないかとふと思った。おそらく、脚本家の子どもが同じくらいの年齢だったこともあり、自らの実感をドラマに盛り込んだのではないかなどと考えるわけだが、毎度ながらテーマ性の深さに感心する。これくらいの深みのある作品に接すると、見た後にも充実感が残るのだが、今となってはそういう作品は稀少である。
 なお今作には、このドラマの音楽を担当しているミッキー吉野率いるゴダイゴが、追っかけられるロックバンド役として出演していて、ドラマの中でも演奏を披露する。このドラマのテーマ曲もドラマのシーンの中で演奏され、それがそのままタイトルバックに引き継がれるという心憎い演出になっていたのもなかなかユニークで、目を引いた。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『男たちの旅路 第2部「廃車置場」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「非常階段」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「路面電車」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第1部「猟銃」(ドラマ)』
竹林軒出張所『男たちの旅路 第3部「シルバー・シート」(ドラマ)』
竹林軒出張所『親ができるのは「ほんの少しばかり」のこと(本)』
竹林軒出張所『夏の一族 (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『本当と嘘とテキーラ(ドラマ)』
竹林軒出張所『季節が変わる日(ドラマ)』
竹林軒出張所『山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『続・山田太一のドラマ、5本』
竹林軒出張所『100年インタビュー 脚本家 山田太一(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2024-02-14 07:15 | ドラマ
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