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竹林軒出張所

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『カラーで蘇る古今亭志ん生』(放送)

カラーで蘇る古今亭志ん生 たっぷり二席
(2023年・NHK)
NHK-BS

落語までカラー化しちゃいました

『カラーで蘇る古今亭志ん生』(放送)_b0189364_10070338.jpg 以前も書いたが、僕は五代目古今亭志ん生の落語が好きで、これまでかなりの演目を聴いているんだが、おかげで他の多くの平凡な噺家の落語が聴けなくなってしまった。僕の中の落語のスタンダードが高くなってしまったためである。たまに寄席に行っても、(トリをとっているような噺家でさえ)ヘタやなぁとしみじみ感じることの方が多くなり、名人・名作に慣れてしまうのも良し悪しというわけだ。
 それはともかく、古今亭志ん生は昭和36年に脳出血で倒れ、その後高座に復帰するも、前のような流れるような噺がなくなったため、全盛期は昭和20年から昭和36年までぐらいと考えて良い。この時代は、ラジオ放送を通じて落語の人気が上がった時代であるため、録音されたもの、つまり音源はかなり残っており、音だけであればかなりの演目を聴くことができる。ただこと映像ということになると、テレビの普及が昭和30年代前半からであるため、志ん生の全盛期とはあまり重なっておらず、残っている演目はかなり限られる。現在わかっているものは3演目のみで、『風呂敷』、『岸柳島』、『おかめ団子』の3本である。僕は一生懸命探し回って、何とか3本とも入手できたが、このうちの『風呂敷』が昨年末に(疑似)カラー化されNHKで放送されていた。疑似とは言えカラー化されると、臨場感がアップしたような印象も受け、なかなかこのカラー化は良い企画であると思っていたところ、今年になって『岸柳島』もカラー化されて放送されることになった。それが先日見た放送で、その放送では前の『風呂敷』と2本立てで放送されていた。どちらもNHK所蔵の映像のようで、そのために今回のカラー化が実現したようだ。
 内容については今さらいろいろ言うことはなく、どちらも大変すばらしい高座である。ただ、『岸柳島』の方が、音声があまり良くないため聴き取りにくい箇所が数カ所あったのがやや残念な部分で、むしろ音声の方をリマスターするとかできないものだろうかと考えたりもする。とは言え、疑似であってもカラー化映像があるのは格別で、こうして改めて地上波で全国放送されるというのも大いに価値があるというものである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『眠れない夜iPodを抱えて』
竹林軒出張所『びんぼう一代 五代目古今亭志ん生(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『落語家圓菊 背中の志ん生(本)』
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by chikurinken | 2024-01-22 07:05 | 放送
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