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竹林軒出張所

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『変身忍者 嵐』 (1)、(2)(ドラマ)

変身忍者 嵐 (1)、(2)(1972年・毎日放送)
原作:石森章太郎
脚本:伊上勝、他
演出:内田一作、他
出演:南城竜也、牧冬吉、林寛子、松葉寛祐、高松英郎、納谷悟朗、中江真司(ナレーション)

二番煎じではあるが
それなりに見どころはある


『変身忍者 嵐』 (1)、(2)(ドラマ)_b0189364_09200760.jpg 子どもの頃好きだった『変身忍者 嵐』がU-NEXTで配信されていることを知ったので、2本だけ見てみた。
 設定は江戸時代で、日本征服を企む「血車党」という秘密組織の野望を阻止するために立ち上がったハヤテ(南城竜也)と伊賀忍者のタツマキ(牧冬吉)らの奮闘を描くというストーリー。
 「血車党」は元々邪悪な組織ではなく、その首領家に仕えてきたのがハヤテの先祖で、ハヤテの父、鬼十(高松英郎)も同様に片腕として働いていた。その鬼十は、「人間変身の秘伝」を編みだし、化身忍者を作り出すことに成功する。これを利用して日本征服を企んだのが現首領の魔神斎(声・納谷悟朗)で、その野望に異を唱えた鬼十は組織から離れ、息子のハヤテは自ら父に志願して化身忍者、嵐となり、血車党と闘う決意を固める。以上が背景である。
 端的に言えば『仮面ライダー』の時代劇版であり、しかも『仮面の忍者赤影』の要素も随所に盛り込むという、二番煎じも良いところの話ではあるが、それなりにしっかり作られている。もちろん、子ども向け作品にありがちな安直で予定調和、かつリアリティのないストーリー展開は随所に見られるが、割合しっかり作られた方かなとも思う。だが主人公の盟友のタツマキが牧冬吉(『赤影』の「白影」役)で、「青影」に相当する子ども忍者まで現れるとなると、ほとんど『赤影』じゃないかと感じる。子ども時代にもそう思ったはずである。なんせ『赤影』が大好きだったから。とは言え、どこか『赤影 バージョン2』みたいな見方をしていた記憶もある。その他のしつらえはほとんど『仮面ライダー』で、敵組織から戦闘員が繰り出され、最後に中堅幹部的な怪人と闘う主人公(正義の怪人)というパターンは毎回踏襲されているようである。
 キャストで言えば、「白影」の牧冬吉がやはり僕にとっては特異である。それから鬼十役の高松英郎が、『柔道一直線』の「車周作」を演じた役者で当時の子どもたちにとって非常に馴染みのある存在だったことも注目に値する。なお高松英郎は第1回だけの登場のようである。なんでもゲスト的に毎回異なる役者が登場していたらしく、(記憶にはないが)キックボクシングの沢村忠やボクシングのファイティング原田、相撲の高見山まで登場していたようである(Wikipedia情報)。他にもアラカン(嵐寛寿郎)や西崎緑、柳家金語楼なんかの名前もある。そう言えば『シルバー仮面』にもゲストとして南沙織が出ていたり、『アイアンキング』に坂口良子が出ていたりしたので、当時こういう遊びの(というか保険というか)キャスティングが流行っていたんだろうと思う。また、タツマキの娘忍者として(その後アイドル歌手としてデビューする)林寛子がレギュラーで出ていたのも、当時は気が付かなかったが、今振り返ると面白い。
 やや安直な子ども向けドラマではあるが、設定がある程度しっかりしているため、それなりに見続けることはできる。僕自身が第3回目以降も見ようとは思わないが、今の子どもが見ても十分楽しめる作品なのではないかと思う。
★★★

参考:
竹林軒出張所『手塚・石森アニメ/特撮ドラマ回顧』
竹林軒出張所『ウルトラセブン (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ウルトラセブン (42)、(43)(ドラマ)』
竹林軒出張所『総天然色ウルトラQ (15) 他(ドラマ)』
竹林軒出張所『忍者武芸帳(映画)』
竹林軒出張所『忍びの者(映画)』
竹林軒出張所『ジャイアントロボ (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『シルバー仮面 (1)、(2)(ドラマ)』
竹林軒出張所『鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ)(映画)』
竹林軒出張所『買った、見た、ふるえた……キックの鬼 最終章』
竹林軒出張所『海の畑(ドラマ)』

by chikurinken | 2024-01-15 07:19 | ドラマ
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