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竹林軒出張所

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『安倍晋三 VS. 日刊ゲンダイ』(本)

安倍晋三 VS. 日刊ゲンダイ
「強権政治」との10年戦争

小塚かおる著
朝日新書

暗黒の安倍政権時代を振り返る
あの悪夢のような時代に戻ってはいけない


『安倍晋三 VS. 日刊ゲンダイ』(本)_b0189364_09144626.jpg 安倍晋三が2012年に首相に返り咲いて以降、高い支持率に支えられ、長期政権を維持した。その政策は、ほとんどがかけ声だけで中身が伴わない愚策だったにもかかわらず、なぜか知らないが人気だけはあり、おかげで日本国は、政治だけではなく経済も急激に下降し、現在では「先進国」とは名ばかりの「普通の国」に成り下がってしまった。しかもあの政権は、首相の人格を反映してか、人権感覚まで乏しく、人権レベルで世界平均を遙かに下回る状況まで生み出してしまった。さらにその上、宗教を名乗る悪徳詐欺集団まで政権に組み込み、とんでもない反動政策を次々に打ち立てたのだった。身内に利益をばらまき、自分たちは法を守らずという状態で、モラルハザードまで引き起こし、日本に残っていた良い面をことごとく消し去った……安倍政権を評価すればこんなところに落ち着くのだろうか。
 僕などは佐藤栄作が首相だった時代から、日本の政治の標準を自分なりに定めていたフシがあったが、安倍はそれをことごとく破壊し、好き放題やらかしていた。そのため、僕は安倍晋三は戦後最悪の首相とことあるごとに語っていたが、世間的な人気は高かったようだ(本当のところはわからないが)。
 安倍晋三の犯罪的行為は枚挙に暇がないが(今も少しずつ暴かれている)、本来それを批判すべきマスコミが、政権の圧力にことごとく屈し、政権批判どころか安倍べったりの記事ばかり垂れ流すようになったのは、日本の民主主義のレベルの低さを証明する結果になってしまった。そんな中で安倍政権に批判の矛先を向けていたのが『日刊ゲンダイ』と『週刊文春』であった。
 その『日刊ゲンダイ』、安倍政権時代に、その犯罪的行為やキャッチフレーズだけの詐欺的政策を痛烈に批判し続けてきたが、その編集長だったのが著者であり、本書は、当時の「対安倍政権」の記事をまとめて、安倍政権時代を総括しようという目論見で書かれたものである。実際、あの政権の犯罪的行為は、振り返るとこんなにあったのかと思うほどで、多くを忘れてしまっている自分にも問題はあるが、世間もまあ似たようなものだろう。したがってこういった本で、問題のある政権を総括するのは非常に有意義なことなのである。
 本書で主に取り上げられているのは、経済の失策、防衛政策の失策、民主主義の破壊、福祉政策の失敗と社会の分断を招いた責任、メディアへの圧力などで、他にも森友問題や桜を見る会、脱法行為など問題は数限りない。よくもこんな政権が10年以上も続いたなと思う。こういう政権を支持する方(つまり支持者の方だ)も、ある意味劣化しているわけだ。「愚かな国民は愚かな政治家を選ぶ」というのを地で行くのがあの時代だった。本当は生きているうちに悪事を晒して相応の罰を与えるべきだったが、権力を握りしめた人間に太刀打ちするのは非常に難しい。あの政権がさらに続いていたら、日刊ゲンダイだってもしかしたら圧力で握りつぶされていたかも知れない。今からでも遅くないため、こういう馬鹿げた政治を繰り返さないためにも、総括して、犯罪行為を暴いていかなければならない。大マスコミも同様の総括をやるべきで、それをやっていない(できない)状況に歯がゆさを感じる。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『妖怪の孫(映画)』
竹林軒出張所『自民党の統一教会汚染(本)』
竹林軒出張所『i —新聞記者ドキュメント—(映画)』
竹林軒出張所『何が記者を殺すのか(本)』
竹林軒出張所『同調圧力(本)』
竹林軒出張所『テレビで会えない芸人(映画)』
竹林軒出張所『新聞記者(映画)』
竹林軒出張所『教育と愛国(映画)』
竹林軒出張所『ブラックボックス(本)』
竹林軒出張所『詭弁社会(本)』
竹林軒出張所『騙されてたまるか 調査報道の裏側(本)』

by chikurinken | 2024-01-12 07:14 |
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