ドキュメント“宗教2世”を生きる
(2023年・NHK)
NHK-総合 NHKスペシャル シリーズ“宗教2世”
『クローズアップ』の焼き直しか? 統一教会やエホバの証人などの信者の家庭に生まれた子供達で、親の宗教を強いられて育った人々のことを、「宗教2世」と呼んだりする。
そういう家庭環境で育ってきて、心にいろいろな問題を抱えていた人々がこれまでも一定数いたが、最近まで彼らの訴えはあまり注目されることがなかった。ところが安倍晋三殺害事件が起こったことから、にわかに統一教会の所業が注目されるようになって、この手の新興宗教に世間の耳目が集まるようになった。それと同時に、この事件の加害者と同じような境遇で育った人々がSNSで自らの境遇をさらけ出し、「宗教2世」と自称するようになったことが始まりだという。
このような「宗教2世」の多くは、親の宗教のせいで、折檻や放置などの虐待を受けてきており、心に闇を抱えているらしい。宗教のせいで家庭が崩壊した家族もあり、それが子供達に大きな苦しみを残したというケースもあるようだ。こういった人々の中には、該当する宗教から遠ざかって自分の親の宗教を客観的に見られるようになった人もいれば、自死してしまったような人もいる。もちろんそのまま信仰を続ける人もいる。そういった人々を取り上げたのがこのドキュメンタリーである。
企画自体は、やや遅きに失した感はあれど、それでもこういう番組を『NHKスペシャル』で放送したことには一定の意義があると思う。ただし内容は『クローズアップ現代』を焼き直したようなもので(実際にかなりの部分が流用だと思うが)、そういう点は感心しない。見せ方もあの番組と共通するようなもので、それほど目を瞠るようなものがあったわけではない。この内容の特集番組を放送したこと自体に価値があるわけで、この後
ドラマ仕立ての続編も放送されるらしく、そういうことを考え合わせると、企画の勝利ということになるだろうか。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『神の子はつぶやく(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カルト宗教信じてました。(本)』竹林軒出張所『カルト宗教やめました。(本)』竹林軒出張所『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話(本)』竹林軒出張所『カルトの思い出(本)』竹林軒出張所『カルト村で生まれました。(本)』竹林軒出張所『さよなら、カルト村(本)』竹林軒出張所『自民党の統一教会汚染(本)』竹林軒出張所『決定版 マインド・コントロール(本)』