42 世界を変えた男(2013年・米)
監督:ブライアン・ヘルゲランド
脚本:ブライアン・ヘルゲランド
出演:チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリー、クリストファー・メローニ
ジャッキー・ロビンソンの偉大さはよくわかる メジャーリーグ初の黒人選手、ジャッキー・ロビンソンの伝記映画。
ジャッキー・ロビンソンは今でも伝説的な選手で、メジャーリーグでは、4月15日(ロビンソンがメジャーリーグデビューした日)が「ジャッキー・ロビンソン・デー」に指定されていて、多くの選手(ほぼ全員)がロビンソンの背番号42を付けてプレーする。
第二次世界大戦後、米国内で黒人の地位が上がってくると同時に、国内(特に南部)の黒人に対する差別的な扱いが少しずつ問題視されるようになる。メジャーリーグも長い間白人プレイヤーのみで構成されていたが、このような世間の動きを背景にして、黒人プレイヤーを参入させようという動きが出てくる。
それを最初に試みたのがブルックリン・ドジャース(今のLAドジャース)で、1946年に会長のブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)が、ニグロリーグのロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)をスカウトし、ドジャース傘下のAAAチーム、モントリオール・ロイヤルズに加入させる。ロビンソンは、白人選手や白人観客からの執拗な嫌がらせや脅迫を受けるが、それによく耐えて、やがて選手として大成していく。その模様を撫でるようにストーリー化したのがこの映画である。
全体的に極めて説明的で、奥行きのないハリウッド的な作品である。当時の人種差別の激しさが描かれており、ロビンソンの視線から描かれる差別主義は生々しいが、それ以外はさながらプログラムピクチャーのようで、今どきのアメリカ映画の水準が窺われる。しかも最後の方の感動させてやろうというあざとい演出が相当鬱陶しく、子ども向けじゃないんだからそういう演出は要らないんじゃないのと思う。これは日本の映画やドラマでも共通だが、全体的に説明過多、演出過多である。視聴者が見くびられているのか、実際に低レベルになったのかわからないが、あまりに演出過多になると興ざめしてしまうものである。唯一の長所と言えば、ジャッキー・ロビンソンの苦難と(それを乗り越えたという点での)偉大さがわかるという点か。
★★★参考:
竹林軒出張所『フィールド・オブ・ドリームス(映画)』竹林軒出張所『ノーラン・ライアン(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『翔平を追いかけて(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『再びカラーでよみがえるアメリカ 2、3、4(ドキュメンタリー)』