火葬場で働く僕の日常2
最期の火を灯す者
下駄華緒原作、蓮古田二郎作画
竹書房
さすがに前著ほどの衝撃はない
火葬場のエピソード集に終始した 『火葬場で働く僕の日常』の続編で、原作者も作画担当者も共通。内容も前著をほぼそのまま踏襲しており、この2冊で1冊になっていてもまったく違和感はない。
前著は世間で知られていない話を紹介していたことからなかなか衝撃的だったが、本書には当然、前著ほどの衝撃度はない。もちろん内容についてはそれなりに面白いものがあって読んで退屈することはまったくないが、目新しさを前ほど感じないということである。エピソード集みたいになってしまっているなどとも感じたが、それは多分に、前著を通じて、火葬場の環境にこちらが慣れてきたせいであって、最初にこの本を読めば印象もまた違ってくるかも知れない。逆に言えば、それくらい前著のインパクトが大きかったという証左でもある。
個人的には、本書のエピソードに怪談めいた話が多かったのもちょっといただけないと感じる。死を扱う仕事だから「霊」と直結しやすいのはわかるが、それでは安直と言われても仕方があるまい。個人的には、火葬場で遺族が揉める話とか、すべてに万全を尽くそうとする葬儀屋の頑固な社長の話とか、太っている人は燃えやすいから火力の調整が大切だとか、そちらの話の方がはるかに興味深い。
とは言え、内容については特に不満もなく、面白く読めたのは事実である。ただ『3』が出たとしても、もう読まないかも知れない。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『火葬場で働く僕の日常(本)』竹林軒出張所『牛を屠る(本)』