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竹林軒出張所

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『“パンドラの箱”が開くとき』(ドキュメンタリー)

“パンドラの箱”が開くとき
文化財返還 ヨーロッパの最前線
(2022年・NHK)
NHK-BS1 BS1スペシャル

ヨーロッパの博物館に広がる変わったブーム

『“パンドラの箱”が開くとき』(ドキュメンタリー)_b0189364_13302254.jpg ヨーロッパ諸国の間に、植民地支配の時代に植民地から収奪した文化財を元植民地の国々に返還しようという動きが広がっているという。ちょっとしたブームにもなっているその動きを報告するのがこのドキュメンタリーである。
 ご存知のように、ヨーロッパの各国は、大航海時代以降20世紀に至るまで、アフリカをはじめとする世界各地に兵を送り、その地を植民地化して自国の繁栄のために収奪の限りを尽くした。そして近代になってからは、こういった国の元首が自らの影響力を国内外に誇示するため、現地から収奪した文化財を展覧するために博物館を相次いで建造した。博物館の由来が元来そういうものであるためそこに世界各地の文化財が集められるのは当然であるが、しかし近年になって植民地時代の反省がヨーロッパ諸国の人々の間に芽生えたことから、奪った文化財を元の国に返還すべしという世論が広がってきた。
 で、その動きに火をつけたのがフランスのマクロン大統領で、国内にある(かつてアフリカ諸国から収奪した)文化財をフランスの旧植民地国に返還すると発表したのである。もちろんこれは、元々は政治的な意図があったんだが、一方で各国に広がっていた人道主義を活気づかせることとなり、そのためにベルギーやドイツにまでこういった動きが広がって、政府関係者や博物館関係者が文化財の返還に名乗りを上げるようになったのだった。
 だが一方で、アフリカのある国では返還文化財を誰が受け取るかで揉めていたり、受け皿としての態勢が整っていなかったりなど、ことはそう簡単に行かないということがだんだんとわかってきたのである。人道的立場からだけでは問題はなかなか解決しないのであるが、しかし元々の動機が純粋で人道主義から来ているものであることから、難題が出てきたとしてもおそらく良い解決策も見つかるのではないかという気もする。何にしても社会正義が実現しているような話であり、問題があるにせよ、基本的には気持ちの良い話だと思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『盗まれたクメール石像(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ルーブル美術館を救った男(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2023-01-27 07:30 | ドキュメンタリー
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