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竹林軒出張所

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『未解決事件File.09 松本清張と帝銀事件』(ドキュメンタリー)

未解決事件File.09 松本清張と帝銀事件
第1部 ドラマ『松本清張と「小説 帝銀事件」』

ドキュメンタリー「74年目の“真相”」(2022年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

帝銀事件の黒い霧

『未解決事件File.09 松本清張と帝銀事件』(ドキュメンタリー)_b0189364_14573764.jpg NHKの『未解決事件』シリーズは毎年1本くらいのペースで放送されているが、相当なエネルギーが投入された力作が多い。今回の第9弾は、1948年に発生した帝銀事件と、その真相を追及しようとする松本清張のアプローチを扱ったものである。例によって第1部がドラマ仕立て、第2部がそれを補足するようなドキュメンタリーという構成になっている。
 舞台は1957年で、作家として名を成し始めた松本清張が、帝銀事件で犯人として検挙され死刑判決が出たにもかかわらず自身の無実を叫び続けていた平沢貞通に関心を持つところから始まる。編集者と協力しながら取材を重ね、この事件に731石井部隊(第二次大戦時、捕虜を実験台にして細菌兵器の研究を行っていた帝国陸軍の部隊)やGHQとの関わりがあることを知る。そして、実際に警察の捜査当局が元陸軍の関係者に迫っていたにもかかわらず何者かの横やりで「平沢が犯人」という構図が作り出されたという事実が判明する。やがてこういった経緯を松本清張は小説の形式(『小説帝銀事件』)とノンフィクションの形式(『日本の黒い霧』)でそれぞれ発表して、平沢死刑囚の無実を訴えたのであった。
『未解決事件File.09 松本清張と帝銀事件』(ドキュメンタリー)_b0189364_14573393.jpg 第1部のドラマで帝銀事件の様子が再現される他、第2部のドキュメンタリーで731部隊の実態が明らかにされ、さらにはGHQからの圧力と考えられる資料も紹介されたりして、内容は非常に充実していると言える。第1部の再現ドラマもよくできていて見どころが多かった。
 戦争直後の混乱期に起きた怪事件に巨大な組織の陰謀が関わっていたことが窺われるドキュメンタリーであり、これがNHKで放送されたことを考えると、現在も再審請求が行われている帝銀事件の再検討に結びつくことになるのではという期待も持たされる。もしかしたら、世論を喚起させたという意味で、今後、きわめて大きな意味を持っていたドキュメンタリーという位置付けになる可能性も秘めている……と思えなくもない。ま、現実はなかなかそうもいかないんだろうが。とは言え、見どころの多いドキュメンタリーであったことには変わりない。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『未解決事件File.02 オウム真理教(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『未解決事件File.05 ロッキード事件(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『未解決事件File.07 警察庁長官狙撃事件(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『未解決事件File.10 下山事件(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2023-01-23 07:57 | ドキュメンタリー
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