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竹林軒出張所

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『毒親サバイバル』(本)

毒親サバイバル
菊池真理子著
KADOKAWA

問題のある生活を送る人々は
家庭や子どもにまで問題をもたらす


『毒親サバイバル』(本)_b0189364_08195781.jpg 問題のある親(つまり「毒親」)のもとで育った、著者を含む11人の人々(多くは著名人)の半生をオムニバス式に描いたマンガ。
 著者のように宗教にはまって子どもに見向きもしなかった親(宗教は母親で父親はアルコール依存症)の他、教育虐待の下で育った人、暴力を奮う親や祖父、ギャンブルにはまる親など、問題のある親の下で大変な思いをしてきた(いわゆる「アダルトチルドレン」)にもかかわらず、後にその家庭から逃れて、なんとか正常な生活を送れるようになった人々の話が次々に出てくる。中には、このような親の影響のためにいまだに問題(パニック障害やアルコール依存など)を抱えている人もいるが、少なくともなんとかやっているようだ、ここに登場する人々については。
 ここに出てくる「毒親」たちは、一般的に見れば、問題のある生活を送る人々に過ぎず、そういう話は割合よく聞くわけだが、だがそういう人の子どもの立場になってしまうと大変だというのが、この本から具体的に伝わってくる。こういう問題を抱えた人々は現代の社会病理の反映ではあるが、だからといって次の世代にその影響を及ぼすことは許されない。結局のところ、その社会病理が、子どもという弱い立場に押し付けられることになっているのである。下手をすると、こういった問題が次の世代に引き継がれることになる可能性すらある。実際、ここに登場する人々の数人が自身の子どもを持ちたくないと語っているし、自身の問題に気付かなかった人々が親になったときに、自分の親にされたことを自分の子どもたちにしてしまう可能性があるとも言われている。
 実際、このような問題はなかなか解決が難しいが、少なくとも「毒親」の実態が世間に知れ渡れば、同じ体験をしている子どもが自分の親に問題があることは認識できるようになる。それが「毒親」からの逃走に繋がることにもなり得る。またそういう家庭で育ったせいでつらい思いを抱えている人々も、自身の家族、そして親の問題を振り返るよすがになる。それが自身の問題を解決するきっかけになる可能性もある。そういう点では、このマンガについても、あるいは最近よく出てくる「毒親」関連書についても大いに評価すべきではないかと思う。ただこのマンガについては、表現がわかりにくい箇所がたびたび出てきて、読みづらさを感じたのも事実。ネームの段階で編集者が確認しなかったのかと思うが、エッセイマンガには、こういった独りよがりの表現が散見されるのもまた事実である。
★★★

参考:
竹林軒出張所『酔うと化け物になる父がつらい(本)』
竹林軒出張所『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話(本)』
竹林軒出張所『カルト宗教信じてました。(本)』
竹林軒出張所『ルポ教育虐待(本)』
竹林軒出張所『〈叱る依存〉がとまらない(本)』

by chikurinken | 2022-07-31 08:22 |
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