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竹林軒出張所

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『ウルトラセブン』 (42)、(43)(ドラマ)

ウルトラセブン
第42話 ノンマルトの使者
第43話 第四惑星の悪夢
(1967年・円谷プロ・TBS)
脚本:金城哲夫、川崎高、上原正三
演出:満田かずほ、実相寺昭雄
出演:森次晃嗣、菱見百合子、中山昭二 、石井伊吉、阿知波信介、古谷敏

ウルトラセブンの中の傑作2本

 NHKで『ウルトラセブン』が再放送されていたため、まとめて見てみたが、ストーリーがどれも安直で、あまり見るべきものはないというのが本当のところである。もちろん、元々子ども向けの作品なんで、それはそれで致し方ないところではある。しかも、悪い異星人や怪獣が登場し、それをウルトラセブンが倒してという見所を30分番組の中に収めなければならないため、絶対必要な箇所以外の部分がないがしろになるのはしようがない。ただその中にも、見所がある回があり、今回紹介する2本はそれにあたる。
『ウルトラセブン』 (42)、(43)(ドラマ)_b0189364_16382829.jpg 1本目が第42話の「ノンマルトの使者」で、これは現在海底に棲息している地球の先住民、ノンマルトが、海底開発する現在の地球人(実際には日本人)に対して、海底開発しないように要求するがそれを地球人(実際にはウルトラ警備隊)がはねつけ、最終的に先住民の海底都市を破壊してしまうという内容で、いつもは地球防衛のために闘うウルトラ警備隊が、侵略者になってしまうというなかなか奮ったストーリーである。そればかりか、最後に少し怪談めいたオチを入れるなど、かなり凝ったストーリーになっている。海底都市の破壊を命じたキリヤマ隊長が「我々の勝利だ! 海底も我々人間のものだ!」などと最後にうれしそうに叫ぶのが怖い。皮肉が効いた良い脚本である。
『ウルトラセブン』 (42)、(43)(ドラマ)_b0189364_16382356.jpg もう1本が第43話の「第四惑星の悪夢」で、ロボットが人間を支配している惑星にウルトラ警備隊の隊員(ダンとソガ)が迷い込むというストーリーで、ロボットが支配する社会に抵抗しようとする人間が次々に処刑されていくのである。ロッセリーニの『無防備都市』を思わせるようなシーンまで出て、かなり期待を持たせるストーリー展開になる。絶望的な状況をどうやって終わらせるのかと思っていたら、案の定、ウルトラセブンが登場してロボット都市を完全破壊して終わらせてしまった。時間の制限があるために致し方ないが、途中まで非常に良くできていたため、ちょっと残念な気がする。なおこの回は、実相寺昭雄が演出していて、ちょっと異色のカットが多いのも見所であった。
 『ウルトラセブン』については、現在20話ぐらいまで見ているが、ストーリーとしてはあまり目を引くものはなく、アンヌ隊員とガジェットを見るぐらいの楽しみしかないのが実情。そのためあまり食指が動かないのだが、ただもしかしたら、この2作のような出色のものも他にあるかも知れない。同じく実相寺昭雄演出の第8話「狙われた街」も異色だった(メトロン星人とダンがアパートの畳の上で対談するシーンが有名)が、他はあまり印象に残っていない。もう少し見てみるつもりだが。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ウルトラセブン (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『私が愛したウルトラセブン(ドラマ)』
竹林軒出張所『万華鏡の女 女優ひし美ゆり子(本)』
竹林軒出張所『総天然色ウルトラQ (15) 他(ドラマ)』
竹林軒出張所『色づくQ』
竹林軒出張所『ふたりのウルトラマン(ドラマ)』
竹林軒出張所『無防備都市(映画)』

by chikurinken | 2022-06-13 07:38 | ドラマ
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