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竹林軒出張所

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『飲んで死にますか やめて生きますか』(本)

飲んで死にますか やめて生きますか
三輪修太郎著
星和書店

認知することが解決の糸口

『飲んで死にますか やめて生きますか』(本)_b0189364_07514328.jpg アルコール依存症だった著者が、その後、断酒会を通じて酒を断ち、立ち直った過程を描く本。
 序盤は、アルコールで身を持ち崩し人生が崩壊しそうだったいきさつを綴った経験談が続くが、中盤から(著者が学習したという)臨床心理学の報告になり、最後の方は自伝小説風になるという、三分冊のような本である。著者によると、当初は断酒会による成果を書くつもりで進めていたのが、その後放置状態になり、三年後に後半部を書き足したということなんだが、そのためにこういう結果になったんだろうと想像がつく。もっとも、一貫性を欠いているにしても、どの部分もなかなか面白く、最後の自伝小説風の箇所も読み応えがあった。なぜこのように間にブランクが空いたかというと、断酒を継続していても自身の根本にある問題を解決しなければ離脱してしまう可能性が高い、ということに気が付いたからである。つまり「酒を飲み過ぎてアルコール依存症になったのではない。依存症になるほど飲まなければ、生きられなかった」ということに気付いたため、自分の中に深く根づいている問題は何かという問いかけが始まって、それが結局自伝小説風の体裁をもたらすことになったということなんだろうと思う。
 著者の場合、その根本原因が、自身の母親の精神病のせいであり、自身がそれに正面から対峙しなかったせいであると認知したことで、アルコールに手を出さなくても生きられるようになったという。その後、アルコール依存症の人々のための施設(「学び舎」)を、故郷の山口に設立するまでになる。
 著者の人生は、経歴が波瀾万丈に見える(能楽家に弟子入り→東京芸大に進学→印刷会社の営業→広告代理店の営業→広告代理店経営→施設開設)が、最終的に自らの学びを活かして人を助ける道に進んだわけである。人生何がどうなるかわからないことを示す好例とも言えるが、結局のところ、問題を抱えている状況ではその問題の根源を探り認知することが肝要という、言ってみれば認知行動療法の効用を示す結果になっていて、そのあたりが興味深い部分かな。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『失踪日記2 アル中病棟(本)』
竹林軒出張所『実録! あるこーる白書(本)』
竹林軒出張所『酔うと化け物になる父がつらい(本)』
竹林軒出張所『電通マンぼろぼろ日記(本)』
竹林軒出張所『脱ネット・スマホ中毒(本)』
竹林軒出張所『私、パチンコ中毒から復帰しました(本)』
竹林軒出張所『ポテチを異常に食べる人たち(本)』
竹林軒出張所『「教えて★マーシー先生」って……』
竹林軒出張所『性犯罪をやめたい(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ルポ 死亡退院(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2022-06-08 07:51 |
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