カラーでよみがえる大英帝国 戦争へのカウントダウン
第1回 女性の社会進出・ナチスの影
(2019年・英Make Waves)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
反復映像がものすごくイラだたしい
『カラーでよみがえる大英帝国 エドワード朝時代1901-1910』と同じ製作会社が作った同じコンセプトのドキュメンタリー。
『エドワード朝時代』の続編という位置付けなんだろうと思うが、構成は前回のものと非常によく似ており、前に述べたように、他の『カラーでよみがえる』シリーズと違って、密度がものすごく低い。(こういったドキュメンタリー作品の目玉である)カラーで再現した映像の量が非常に少ない上、同じ映像を何度も何度も繰り返して再生したりする。こういう演出が非常に苛立たしく感じる。識者のコメントが、識者の映像付きで随時くどいほど入るが、これも密度を低くする原因になっている。識者の映像なんかいらんから、ナレーションだけかぶせたらどうだと思う。しかも今回のやつは3回シリーズになっていて、45分×3回で放送されたんだが、3回分のカラー化映像をあわせて1本にまとめても、まだ余裕があるくらいの分量しかない。
またカラー化された映像も市井の人々のものが多く、エポックメイキングな事件があまりない。英国内ではどうか知らないが、現代の日本人が見てもあまり面白味を感じないものばかりである。どうしてこんなドキュメンタリー作ったかなと言いたくなるような低レベルのドキュメンタリーになってしまっている。
今回見たのは第1回目だけだったが、ちょっとだけ覗き見した第3回でも、第1回のときと同じ映像が出ており、しかも何度も同じ映像を繰り返していた(魚の加工作業をする女性の映像は、同じものが5、6回以上は流れている)。視聴者を舐めているのかとも思ったが、これが英国スタイルならば、それはそれで良い。
とにかく、映像を少しだけカラー化したからといって、それだけを目玉にして、他の部分を水増ししたような番組を作ってはいけない。『カラーでよみがえる』を謳った他のシリーズがどれもことごとくよくできているため、こういった安直な番組作りは余計目立ってしまうのである。世界の水準から突出して劣ったこういう作品を見ると、英国の放送業界は鎖国しているのかとも思ってしまう。少なくとも、日本のドキュメンタリー枠でわざわざ放送する意味はないと思う。
追記:
『エドワード朝時代』の方は『BS世界のドキュメンタリー』の枠で2020年に放送され、今回のものが2022年放送だったため、今回のシリーズが新しく作られた続編かとも思っていたが、製作年が同じであることを考えると、あるいは同時に作られたものかも知れない。なんなら4本分の映像をまとめて1本にすれば良かったのに。
★★参考:
竹林軒出張所『カラーでよみがえる大英帝国(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえるイギリス帝国(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえるパリ(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえる第一次世界大戦(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえる東京(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでみる太平洋戦争(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 1、2(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 3、4、5(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『再びカラーでよみがえるアメリカ 1(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『再びカラーでよみがえるアメリカ 2、3、4(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーで見る 独裁者スターリン(ドキュメンタリー)』