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竹林軒出張所

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『日本沈没 –希望のひと–』(1)〜(5)(ドラマ)

日本沈没 – 希望のひと – (1)〜(5)(2021年・TBS)
原作:小松左京
脚本:橋本裕志
演出:平野俊一、土井裕泰、宮崎陽平
出演:小栗旬、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、風吹ジュン、宮崎美子、杉本哲太、石橋蓮司、仲村トオル、香川照之

ドラマにダイナミズムが欠けているため
見続けるのが苦痛


『日本沈没 –希望のひと–』(1)〜(5)(ドラマ)_b0189364_16592254.jpg 今さらながらの『日本沈没』がリメイクされて放送されている。
 主人公は、環境省の高級官僚、天海(小栗旬)、それに絡むのが、記者の椎名(杏)、首相(仲村トオル)、田所博士(香川照之)などである。田所博士は、前の映画版『日本沈没』ドラマ版『日本沈没』で小林桂樹が演じて、なかなかの迫力だったんだが、今回は香川照之がややコミカルに演じている。それにしゃべり方も奇妙で、相当違和感がある。演技も大げさでいけない。
 (1)〜(5)では、田所が、関東が沈没するという説を唱えるところから始まる。政府側はなかなか動こうとしないが、高級官僚の天海が、首相周辺を動かし、関東住民の避難を開始させる。同時に天海は、そのスタンドプレーが顰蹙を買い役職を解かれるが、その直後に東京の近海部に異変が起こり、沈没を始める。早期の避難計画が功を奏し、被害は少なめに抑えられる。結果的に、天海は再び日本未来推進会議(被害対策を練っていた首相直属の機関)に迎え入れられるというストーリー。
 ストーリーは、それなりにまとまっているが、基本的に原作である程度ラインが決められており、パニック映画だから概ねその通りに動くはずで、意外性はまったくない。それよりも、とにかく話がまだるっこしくて、さっさと前に進ませろやと感じることが多い。第1回目は途中早送りして見ていたほどである(後で元の位置に戻して見直したが)。
 演出は(本当に)ありきたりで、鼻に付く演技も多い。キャストもあまり魅力を感じない。セリフも面白味がない。脚本もつまらない……と言い切ってしまおう。それに途中挿入される音楽も、非常にわざとらしくて、感動を強要しようとしているのか知らんが、逆にとても白けてしまう。演出も、演技も、脚本も、音楽もどれをとっても低水準で、ドラマの全般的な水準が以前に比べてものすごく落ちていると感じる。
 唯一の見所は災害シーンで、こちらはSFXを駆使した見事なものだった。映画版や旧ドラマ版との最大の違いである。むしろこのあたりを前面に押し出し、パニックドラマとしてどんどん推し進めていってくれたらもう少し面白いドラマになったかも知れないが、全編ヌルヌルした澱んだ状態で進んでいて、見所が少ない。おそらく今後も、こういったヌルヌルで進んでいくんじゃないかと思う。後はパニックシーンだけダイジェストで見ようかなと思っている。
★★★

参考:
竹林軒出張所『日本沈没(映画)』
竹林軒出張所『日本沈没 (74年版) (1)〜(4)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日本沈没 (74年版) (5)〜(14)(ドラマ)』
竹林軒出張所『日本以外全部沈没(映画)』
竹林軒出張所『リメイクもういらん党宣言』

by chikurinken | 2021-11-29 06:58 | ドラマ
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