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竹林軒出張所

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『ゴジラ対へドラ』(映画)

ゴジラ対へドラ(1971年・東宝)
監督:坂野義光
脚本:馬淵薫、坂野義光
出演:山内明、川瀬裕之、木村俊恵、麻里圭子、柴本俊夫

ゴーゴーの場面だけ憶えていた

『ゴジラ対へドラ』(映画)_b0189364_12004247.jpg ここでも過去の怪獣特撮映画をたびたび取り上げているが、個人的には、こういったものにさして関心があるわけではない。こういう映画をたまに見たりすることもあるが、その場合でも、子ども時代に見た作品とか、当時見たかったが見られなかった作品を見るというような動機で見ているのである。動機はあくまで「懐かしさ」であり、それ以上のものはほぼないと言って良い。
 ここで紹介している『ゴジラ対へドラ』も「懐かしさ」から見たものである。子ども時代に「東宝チャンピオンまつり」でこの映画を見ていたため、懐かしさを感じたから今回見たわけである。ちなみに僕が劇場で見た新作怪獣特撮作品はこれが最後であった。
 当時の社会問題であった公害問題を素材にしてヘドロの怪獣、ヘドラを登場させたのは、今考えるとなかなか意欲的ではあるが、当時、子どもだった僕は、この映画について「まったく面白くない」と感じたのだった。見た後、かなりの失望を感じたという記憶がある。(子どもが好きな)格闘のシーンが少ない上、画面も暗いし、それからわけがわからない「サイケ」のシーンが多いしで、僕自身としては相当な低評価だった記憶がある。実際、ストーリーもほとんど記憶になかった(あるいは端から理解できなかったのかも知れない)。
 ただし映画中、ゴーゴー喫茶で歌われている「かえせ、かえせ、緑を青空をかえせ」という歌は、メロディも歌詞も鮮明に憶えていた。今回確認したが、映画の中では都合3回程度しか出てこないにもかかわらず、記憶は驚くほど正確だった。一方で、このシーン以外は、映像としての記憶がまったくない。格闘シーンもまったく記憶がない。ちなみにゴーゴー喫茶というのは、ちょっと前のディスコ、今のクラブみたいな存在で、60〜70年代に流行ったが(『巨人の星』にも登場している)、子どもだった僕にとっては、こちらのインパクトが一番大きかったということなんだろうか。
 さてこの映画であるが、今見ると、子ども向け怪獣映画としては、ストーリーは割合よくできている方だが、それにしてもヘドラが空を飛んだり光線を吐き出したりとあまりに唐突さ(というか荒唐無稽さ)を感じる演出が多く、子ども向けにアトラクションを盛り込んだつもりなのかも知れないが、無意味でご都合主義的に思える。ゴジラが、光線をはきながらその反動で空を飛ぶシーンもバカバカしいと感じる。「懐かし映画」みたいな付加価値がなければ見るに値しない映画だと今回あらためて感じたのだった。
 なお、この映画、『The Fifty Worst Films of All Time(世界最悪の50本)』に選ばれているらしい。そんなところで扱われるほどの大層な作品なのかとも思うが。
★★☆

参考:
竹林軒出張所『ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『モスラ対ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『怪獣大戦争 キングギドラ対ゴジラ(映画)』
竹林軒出張所『決戦 ! 南海の大怪獣(映画)』
竹林軒出張所『日本人は何をめざしてきたのか (3)(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『去年マリエンバートで(映画)』

by chikurinken | 2021-10-31 07:56 | 映画
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