コロナ自粛の大罪
鳥集徹編
宝島社新書
新型コロナ禍について
冷静に考えるための一助になる
医学ジャーナリストの鳥集徹という人が、7人の現役医師に、コロナ禍についてインタビューし、現行のコロナ自粛対策が的外れで、すぐに改善すべきであることを主張する本。
インタビューの対象は、森田洋之(南日本ヘルスリサーチラボ代表)、萬田緑平(緩和ケア萬田診療所院長)、長尾和宏(長尾クリニック院長)、和田秀樹(精神科医)、本間真二郎(七合診療所所長)、高橋泰(国際医療福祉大学大学院教授)、木村盛世(元厚生労働省医系技官)の7人で、人によって異なる意見もあるが、政府による現行のコロナ対策が間違っており、弊害が多すぎる上、対感染症対策として有効でもないという点で一致している。
ここに出てくる数人の医師は、新型コロナを現行の(結核やSARSなどの)2類相当から(インフルエンザ並みの)5類相当に格下げ、つまり指定感染症から外すべきとしている。つまり新型コロナが、多くの人々にとっては実質的には風邪程度であるにもかかわらず、過剰な対応のために医療現場、それから社会全体に混乱が起こっているとする。また、過剰なコロナ自粛対策のせいで、経済が悪化しており、それが自殺の増加(2020年は減少傾向だった自殺者数が増加した)につながっていて、この傾向は今年も続くかも知れない。結果的に、新型コロナによる犠牲よりも、その対策による犠牲の方がはるかに大きいという矛盾した結果が出ているとする主張も説得力がある。政府のコロナ分科会は感染症の専門家ばかりで、感染症を抑えることばかりに汲々としているため、きわめて近視眼的で総合的な対策がまったくとれていないとする意見も納得である。
萬田医師などは、「ただの風邪なんだからどんどん感染したほうがいい」と言い切る。近いうちに亡くなる予定だった人たちの延命のために全世代の命を削るのはおかしいという主張は、今回の誤ったコロナ対策の特徴を捉えていると感じる。また、本間医師の「”未知のワクチン”を打つほどのウイルスなのか」という問いかけも、新型コロナ禍の本質を突いていると感じる。他にもPCR検査の問題点(感染者を正確に特定できない点)についての指摘がある他、マスコミ(特にワイドショー)の新型コロナに対する異常な取り扱いについても言及が多い。ただしこれはインタビュアーがそちらに誘導しているためで、それを考えると編者の主張がかなり強く出ている本だと言える。特に編者は、GO TOキャンペーンの中止に対して反感を持っているようだが、僕個人としてはあんな愚策は、それ自体やるべきでないと思っていたクチなので、GO TOキャンペーンの話が出てくると途端に白けてしまう。
多くのインタビューは、なかなか有益で面白かったが、和田氏と木村氏のインタビューは疑問を感じるような箇所があちこちにあり、あわせて不快感も感じたせいで、読み続けるのが苦痛だった。特に和田については、事実誤認の独断的な主張が頻繁に出てきて、医者というより人間的な資質を疑ってしまうような雰囲気を感じた。もちろんこれは、編者によるインタビューのまとめ方のせいかも知れないので正確なところはわからない。
いずれにしても、この本が、新型コロナ禍について冷静に考える上で大きな助けになるのは間違いない。実際、新型コロナについては、知りたいデータ(死亡者数や死亡原因、ワクチンとの因果関係など)があまり出てこず、感染者数ばかりがひとり歩きしている現状があるため、実態が掴みにくいという問題がある。本当の側面が見えてこなければ実態もわからないというものである。風邪の感染者数を気にしたところでしようがないわけであるし。
★★★☆参考:
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