何度でも言う がんとは決して闘うな
近藤誠著
文春文庫
いい加減な作りの文庫本
『患者よ、がんと闘うな』でお馴染みの近藤誠の著書。著書といっても、かつて出版されたムック本(
『文藝春秋増刊 近藤誠 何度でも言う がんとは決して闘うな』)を文庫本に仕立てたもので、本と呼ぶことは少々憚られるような一冊である。
本書の構成はと言うと、これまであちこちで(多くは文藝春秋社の雑誌)著者が書いた記事や、対談を集めたものであり、本としての価値はかなり低いと言わざるを得ない。ただし内容については、これまで他の著書で展開している著者の主張を一層進めた議論や、反対派医師とのやりとりなども紹介されていて、興味深い箇所も多い。ただ、一冊の本として見ると、構成に一貫性がなく、非常に雑多な印象である。いくら近藤誠の本が売れるからといって、雑誌ならいざ知らず、こういう形で文庫本に仕立てあげるというのはいかがなものかと思う。文藝春秋社も出版社としての矜持を失ってしまったのかと思える本であった(そんなものはとうになかったのかも知れないが)。
★★★参考:
竹林軒出張所『がん放置療法のすすめ(本)』竹林軒出張所『これでもがん治療を続けますか(本)』竹林軒出張所『成人病の真実(本)』竹林軒出張所『日本は世界一の「医療被曝」大国(本)』竹林軒出張所『健康診断は受けてはいけない(本)』竹林軒出張所『どうせ死ぬなら「がん」がいい(本)』竹林軒出張所『大往生したけりゃ医療とかかわるな(本)』竹林軒出張所『「健康不安」に殺されるな(本)』竹林軒『書籍レビュー:この本をすすめる本当の理由』竹林軒出張所『NEXT WORLD 私たちの未来(ドキュメンタリー)』