荒野の七人(1960年・米)
監督:ジョン・スタージェス
原作:黒澤明、橋本忍、小国英雄
脚本:ウィリアム・ロバーツ
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ユル・ブリンナー、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ロバート・ヴォーン、ブラッド・デクスター、イーライ・ウォラック、ホルスト・ブッフホルツ、ジェームズ・コバーン
ウェスタン版『七人の侍』
この映画も、子どもの頃『月曜ロードショー』で見た作品。吹き替えしたテレビ版以外では、これまで見ていないと思う。
この映画が黒澤明の『七人の侍』を翻案した作品であることはあまりに有名で、そのためにこの映画を見るときも、ユル・ブリンナーが志村喬だとか、ジェーズ・コバーンが宮口精二だとか、『七人の侍』のキャラクターを当てはめながら見てしまう。三船敏郎の菊千代にあたるキャラは、チコという若者に相当する役回りだが、このキャラクターには木村功のキャラクターの要素も入っている。
やはり、この映画の一番の魅力は、『七人の侍』同様、登場人物たちの性格付けと戦闘シーンということになるだろう。とは言え、登場人物の魅力は伝わってきはしたが、最後の戦闘シーンについては『七人の侍』に比べて格段に落ちる。ストーリー展開が少し違ったためこういう風になってしまったんだろうが、つくづく残念である。
この映画、大枠のストーリーだけでなく、最後の台詞まで『七人の侍』と同じにしたのは、いかがなものかと思う。今だったら剽窃の問題が当然起こってきて、著作権の論議に発展するのは目に見えているが、当時、『七人の侍』を製作した東宝はこれについて何も言ってこなかったどころか、黒澤明がこの映画の監督に感謝したってんだから、当時の日本人のアメリカ・コンプレックスには驚くばかりである。時代的に鷹揚だったということもあるんだろうが(黒澤明も他からストーリーを持ってきたりしているし)。こういう鷹揚さについては、今でも踏襲していてもらいたいもんであるが、今みたいな世知辛い世の中では無理かな。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『ウエストワールド(映画)』竹林軒出張所『隊長ブーリバ(映画)』竹林軒出張所『荒野の決闘(映画)』竹林軒出張所『荒野のガンマン(映画)』竹林軒出張所『リオ・グランデの砦(映画)』