ラ・ブーム(1980年・仏)
監督:クロード・ピノトー
脚本:ダニエル・トンプソン、クロード・ピノトー
出演:ソフィー・マルソー、クロード・ブラッスール、ブリジット・フォッセー
ソフィー・マルソーの姓は
マルセル・マルソーからとられたらしい(余談)
1980年に公開されたフランス製の青春映画。主演は、この映画でデビューしたソフィー・マルソーで、この映画以降、人気を確立した。日本でも当時、この映画のコマーシャルがよく流されていて、この映画がどの程度見られたかはわからないが、ソフィー・マルソーは、当時の中高生の間でアイドル的存在になった。かく言う僕も、ソフィー・マルソーにはアイドル女優としてのイメージがずっとあったが、この映画についてはずっと見る機会がなかった。アイドル、ソフィーには関心があったが、それ以降も結局見ることはなかった。学生時代、映画好きの友人が、この映画のことを「しんどかった」(退屈な映画を指すときに使う符帳)などと言っていたこともあり、あえて見ようという気力も湧かなかった。今回、NHK-BSで放送されたことからとりあえず録画していたんだが、時間が少しできたため、懐かしさと興味本位で見てみたのだった。こうして今振り返ってみると、40年前(!)の映画ということになる。僕自身は、ついこの間みたいな印象を持っていたが、考え違いも良いところである。今やソフィー・マルソーも50代である(もうベテラン!)。
さて、映画は、「素敵な恋愛」を夢見る思春期の少女の恋愛事情といったもので、同級生が主催するパーティに行っては、すてきな恋を探し求めるというような、他愛もないような話ではあるが、先述の友人が言っていたほど「退屈」とは感じなかった。多少のバカバカしさは感じるが、子どもの恋を親の恋愛事情と絡めて話を進めていくシナリオは決して悪くない。ただところどころ編集がいい加減な箇所があって、それが古さを感じさせる他、ストーリー展開の安直さもあちこちにありはするが、全編に軽い笑いの要素が散りばめられ、エスプリが利いていて良かったと思う。「恋に恋する少女」というテーマもうまく描かれていた。ちなみにタイトルの「ラ・ブーム」というのは、少年・少女が自宅で開催するパーティのことらしい。フランスの中学生はつき合う相手をパーティで探すものなんだな、などと少し感心したが、もしかしたら、かつての舞踏会での社交界デビューみたいな伝統がこういうところに引き継がれているのかも知れない。いずれにしても、長年気になっていた映画なんで、今回見られて良かったなとは思う。
キャストは、ソフィー・マルソー以外はあまり日本で知られていない役者ばかりだが、母役を演じているブリジット・フォッセーについては、名前を聞いたことがあるんで調べてみたら、なんとあの『禁じられた遊び』の少女だった。こちらもソフィー同様、元子役だったわけである。そういう点では意図的なキャスティングなのかも知れない。夫との関係や自身のキャリアに思い悩む中年女性を巧みに演じていて、好演であった。
★★★参考:
竹林軒出張所『アンナ・カレーニナ(映画)』