わたしの日々
水木しげる著
小学館
すべてのページに手抜きが無い
マンガ雑誌『ビッグコミック』で2014年から2015年までの間に連載されていた同名タイトルのエッセイ・マンガを集めたもの。当時、著者、93歳で、この連載の後、2015年に死去した。
1話あたり4ページのオールカラー作品で、全34話。どの作品も水木しげるらしく非常に丁寧に作画されているが、各回にオチがないため、最初はどこに区切りがあるかわからずにそのままダラダラと読み進めていた。エッセイ・マンガであることを考えると、それはそれでまた味だと言えることは言える。いずれにしても、晩年の水木しげるの身辺や、あるいは自身の過去の出来事などが描かれていて、そういう点ではなかなか興味深いところである。
なお、前回紹介したちばてつやの
『ひねもすのたり日記』は、本作『わたしの日々』の連載終了を承けて、その後釜として始まったものである。過去の回想を含んだ身辺雑記という点で共通しているのはそのためだろう。また本作の冒頭に、マンガ雑誌の編集部(「ビックリコミック」)からマンガの依頼があり、水木サンが「断れ!」と怒鳴るシーンがあるが、『ひねもすのたり日記』の第1回も似たようなシーンから始まっていた。おそらくちばてつやが、本作をパロディにしたんだろうが、それがこちらの本を読んで初めてわかったという次第(順序が逆である)。
若い頃の作品ほどの意欲作ではないが、作家が晩年を描いたエッセイという点で、十分に読ませるものがある。やはり大家らしく、ストーリー展開(オチはないが)やコマ割りなどは非常に上質。これはちばてつやとも共通である。また、すべてのページに手抜きが無く細かく描かれているのも著者らしいと思う。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『のんのんばあとオレ (1)、(2) (マンガ版)(本)』竹林軒出張所『ほんまにオレはアホやろか(本)』竹林軒出張所『ビビビの貧乏時代(本)』竹林軒出張所『ねぼけ人生(本)』竹林軒出張所『コミック昭和史 第1巻、第3巻、第4巻(本)』竹林軒出張所『コミック昭和史 第2巻(本)』竹林軒出張所『コミック昭和史 第5巻、第6巻、第7巻、第8巻(本)』竹林軒出張所『総員玉砕せよ!(本)』竹林軒出張所『敗走記(本)』竹林軒出張所『ひねもすのたり日記 (1)〜(3)(本)』