はいからさんが通る(1987年・東映)
監督:佐藤雅道
原作:大和和紀
脚本:西岡琢也
出演:南野陽子、阿部寛、田中健、柳沢慎吾、松原千明、篠山葉子、風見章子、野際陽子、本田博太郎、河原崎長一郎、丹波哲郎
アイドル映画なりの魅力はある
1970年代の人気マンガを映画化した作品ではあるが、主役が当時人気のアイドル、南野陽子ということで、基本的にはアイドル映画である。
この原作、アニメ化もされており、他にもドラマ、舞台にもなっている。宝塚の演目にもなっているらしい。アニメについてはかつて再放送時に一部見たが、数回しか見ていない(と記憶している)ため、ストーリーが最終的にどうなるのかよくわかっていなかった。その割にはオープニングとエンディングのテーマソングも憶えているんで、意外に結構見ていたのかも知れないが、記憶の中では、主人公の紅緒のキャラが面白かったぐらいの印象しかない。
舞台は大正時代、軍人の娘の紅緒は、お転婆で破天荒なキャラだが、華族の青年、「少尉」(と紅緒は呼ぶ)と、親の取り決めによって突然婚約することになる。最初は渋っていた紅緒だが、少尉の優しさにだんだん惹かれるようになっていく。そんな折、紅緒の軽率な行動のせいで、少尉が小倉の駐屯所に跳ばされ、やがてシベリア出兵に従軍することになる……というようなストーリー。
ストーリーは歴史的な出来事を織り込みながら進行し、しかも二転三転していろいろ工夫の後が見られるが、やはり原作が少女マンガということで、ロマンス本の典型のような展開になっていく。映画の『ひまわり』や
『卒業』のエピソードをそのままパクったようなプロットもかなり気になるところである。
映画もアイドル映画ということでそれなりで、どちらかというと南野陽子のプロモーション映画みたいな要素が強い。南野陽子はなかなかチャーミングで、「お色直し」的にいろいろな衣装を身につけるため、ファンであればなかなか楽しいんではないかと思う。相手役の少尉は、当時モデルだった阿部寛で、これが映画初出演。少尉にうってつけの美形キャラである。ただ後の出演作品に見られるような演技派の側面は望むべくもない。美形の人たちが大勢出てきてあれやこれややっていくという作品で、やはりアイドル映画なんだなーと思いながら見ていたのであった。一部京都でもロケをしていたようで、見覚えのある風景があちこちに出てきた。
★★★参考:
竹林軒出張所『時にはいっしょに(1)〜(11)(ドラマ)』竹林軒出張所『坂の上の雲 (1)〜(13)(ドラマ)』竹林軒出張所『卒業(映画)』