スーパーカブ (1)、(2)(2021年・ベアモータース)
原作:トネ・コーケン
脚本:根元歳三
演出:藤井俊郎
出演:夜道雪、魚建、七瀬彩夏
内容なくないですか
天涯孤独で何の取り柄もなく将来の夢もない女子高生が、ホンダのスーパーカブを手に入れて少しずつ人生を変えていくというストーリーのアニメ。世間で少し話題になっているようなので、アマゾンプライムで見てみた。
今どきのアニメらしく、情景描写が非常にリアルで細かく美しいが、ストーリーと大して関係ない(何ならほとんど省略してもOKの)舞台の描写ばかり。ストーリーの方は、あるのかないのかわからないような超薄味で、話もなかなか進まない。進んでも、作り手の都合通りに進行していき、その展開があまりに素朴すぎて思わず苦笑してしまう。原作はラノベらしい。道理で。
スーパーカブのディテールも細かく描かれるため、バイク好きには良いだろう。また登場人物もロリータ風なので、アニメ好きにも好まれるかも知れないが、それにしても内容が薄い……というか、無いに近い。今どきの消費者たちはこんなもので満足するんだろうか。この物足りなさ感覚は、どことなく
『マネドラ』を髣髴させるが、本当にこの程度のもので満足して良いのですか、もっといろいろなものに触れてみたらどうですかと、(特にこの作品を評価している)消費者の皆さんに訴えたくなる。そう言えばこのアニメの絵柄自体もどことなく『マネドラ』の表紙に似ている気がする。
★★★参考:
竹林軒出張所『マネドラ(本)』