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竹林軒出張所

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『黄金の日々』(1)〜(3)(ドラマ)

黄金の日々 (1)〜(3)(1978年・NHK)
原作:城山三郎
脚本:市川森一
演出:岡本憙侑、宮沢俊樹、高橋康夫
出演:六代目市川染五郎、栗原小巻、林隆三、根津甚八、川谷拓三、丹波哲郎、竹下景子、鹿賀丈史、小野寺昭、花沢徳衛、夏目雅子、津川雅彦、志村喬、宇野重吉、高橋幸治、緒形拳、鶴田浩二

キャスティングが大きな魅力

『黄金の日々』(1)〜(3)(ドラマ)_b0189364_21504170.jpg 1978年に放送されたNHK大河ドラマ。僕が初めて通しで見た大河ドラマである。とは言え、実際に見たのは第8回から後で、序盤は見ていない。そのため主役の3人(呂宋助左衛門、石川五右衛門、杉谷善住坊)の関係性が今一つ掴めていなかったが、今回第1回を見てから彼らの関係が一挙にわかった。要は、今井宗久の密命を受けたのがこの3人という繋がりだったわけである。
 舞台は戦国時代の自治都市、堺。その堺に対して、新興の大名、織田信長が五万貫の矢銭を要求したが、堺がこれを突っぱねたために、戦闘が始まろうという状況。あくまで戦闘を主張する堺の会合衆(国会議員みたいなもの)の中で、唯一和睦を主張するのが、大商人の今井宗久(丹波哲郎)である。だが会合衆の中に彼を支持する者がいなかったために、密かに茶器の名物を信長に献上することで戦闘を回避しようとするのである。そして、その際に徴用されたのが先の3人ということになる。
 このドラマの主人公はその中の一人、呂宋(るそん)助左衛門(六代目市川染五郎)で、後に海外貿易で一財産を築き上げる人物だが、このドラマでは、その助左衛門(当初は助左と呼ばれる)が、同時代の大名たち、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、高山右近らと接点を持ちながら成長していく過程が描かれる。
 かつて最初に見た第8回は、助左がルソン島に漂着した話で、それが非常に面白かったために結局最後まで見ることになったんだが、後半はやや月並みな展開になっていく。その中でもユニークだったのが豊臣秀吉の変貌ぶりで、このあたりはこのドラマの見所の一つである。なお、豊臣秀吉を演じたのは緒形拳だが、緒形拳は10年以上前にNHK大河ドラマ『太閤記』でも豊臣秀吉を演じており、当時緒形拳の秀吉はもしかしたら「鉄板」配役だったのかも知れない。なおこの数年後、TBSの大型時代劇『徳川家康』でも、緒形–秀吉は登場する。
 それはさておき、当時のNHK大河ドラマ特有なのかも知れないが、キャストが超豪華でそれが一番の驚きである。上の「出演」欄に記したのは、第3回までに登場したキャストの一部だが、これだけ見ても驚く。ちなみに織田信長を演じるのは高橋幸治だが、こちらもNHK大河ドラマ『太閤記』で信長を演じていた。キャスティングにも味を感じる。
 主演の市川染五郎は、少し前の松本幸四郎、現在の二代目松本白鸚である。当時、テレビドラマの出演はほぼこれが初めてで、地方在住の染五郎ファンから「演じているところを見たいが(地方在住であるため)なかなか見られない」という手紙をもらったのがきっかけで、このドラマの出演を決めた……というような話を以前ラジオで聴いたことがある。『黄金の日々』の出演は当時大変好評で、それがために、それ以降テレビドラマにもたびたび出演するようになった。数年前などはNHK大河ドラマ『真田丸』で呂宋助左衛門役をチョイ役で演じていたが、これも『黄金の日々』世代にとってはなかなか味わいのあるキャスティングであった(おそらく脚本担当の三谷幸喜の遊び心であろう)。
 今回、このドラマを見ているのは、NHK BSプレミアムで再放送されているためで、まだ数回放送されたところだが、見所の多いドラマである。最近の大河と比べると破格であると思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『太平記 (4)〜(27)(ドラマ)』
竹林軒出張所『炎立つ 総集編 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『風と雲と虹と 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『草燃える 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『平清盛 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『花の生涯 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『徳川慶喜 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『獅子の時代 総集編(ドラマ)』
竹林軒出張所『坂の上の雲 (1)〜(13)(ドラマ)』
竹林軒出張所『麒麟がくる』(6)〜(44)(ドラマ)』
竹林軒出張所『光る君へ(ドラマ)』
竹林軒出張所『関ヶ原参戦の記(後編)』

by chikurinken | 2021-04-28 06:50 | ドラマ
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