カールさんとティーナさんの古民家村だより
新潟“奇跡の集落”ひと夏の物語
(2021年・NHK)
NHK-BS1
古民家だけでなく
村も再生してしまったドイツ人建築家の話 日本の古い建築が好きで、そのために古民家再生にも多大な関心を持っている。一時期、古民家再生に関連する本もよく読んでいたが、その折にカール・ベンクスというドイツ人が新潟に作った古民家再生住宅が非常に美しくて感心したことがある。このカール・ベンクス氏、現在も新潟の竹所(たけところ)というところに住んでいる。もちろん、住まいは彼が再生した(かつて僕が目にして感心した、あの)古民家再生住宅である。ドイツ人の奥様、ティーナさんも一緒に住んでいて、二人ともこの地が非常に気に入っているらしいのだ。しかも、ベンクス氏、この地で棄てられつつあった他の古民家についても(利益を度外視して)再生し、その古民家がいろいろな人に買われて、結果的にかつては限界集落だった竹所に、現在多くの人々・家族が集まってきて、村が再生されつつあるというのである。そのような現状を紹介するのがこのドキュメンタリー。
カール・ベンクス氏が再生した数々の住宅が紹介されるのはもちろんで、同時にベンクス夫妻の自然に溶け込んだ生活もドキュメンタリーの大きな柱になる。また、この地に移住してきた人々も紹介され、自然と共存する生活の魅力が伝えられる。紹介されるスローライフは非常に魅力的だが、良い面ばかりが強調されていることは容易に推測できる。実際に生活するとなると、いろいろと厄介な問題もあるんだろうが、しかし都市生活者にとって今ではこういう生活も一つの選択肢であり、良いところを享受できれば充実した人生が送れるのではないかなどと、ベンクス夫妻の生活を見ていてつらつら考えたのだった。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『美しき日本の残像(本)』竹林軒出張所『「山奥ニート」やってます。(本)』竹林軒出張所『ベニシアさんの四季の庭(映画)』--------------------------
以下、以前のブログで紹介したカール・ベンクスに関する本の評(再録)。
(旧ブログ2004年12月8日の記事より)
カール・ベンクス よみがえる古民家油木崎寿久著
新潟日報事業社
以前、日本の古民家修復事例のカタログみたいな本を見ていて、あまり良いものがない中で「おおっ」と目を引くものがあった。ある年の何かの賞をとった新潟の家で、なんでもドイツ人が作ったと書いてあった。その家こそが、この本の表紙に使われているカール・ベンクスの住まいなのだった。そして作ったのもこのカール・ベンクス。そんなわけで興味を持ってこの本を読んだ。ベンクス氏の作品が4軒掲載されていて、それぞれが異なる外観を持つ。またベンクス氏の古民家(というか伝統)に対する考え方も紹介されており、共感を覚える。カラー写真も豊富で楽しいつくりになっている。
★★★