一所懸命に漕いできた “歴史探偵”半藤一利の遺言
(2021年・NHK)
NHK-Eテレ ETV特集
半藤一利を追悼する
先頃死去した半藤一利の追悼番組風ドキュメンタリー。半藤一利の半生を、彼のインタビューや周辺の人々のインタビューで綴る。
少年時代に東京大空襲を経験し、戦争の悲惨さを自ら体験する(この経験がその後の文筆活動の中心になる)。大学卒業後、文藝春秋社に入社し、その間も執筆活動を続けるが、文春の編集長を務めていた際に発表したのが
『日本のいちばん長い日』で、これが事実上の長編デビュー作である。その後、退社して本格的に著述活動を始めるようになる。
氏の代表作は、『日本のいちばん長い日』、『ノモンハンの夏』などの歴史物で、本人は「歴史探偵」を自称する。執筆に際しては、極力当事者の元に足を運び、直接話を聞くという「取材者」としての立場を終始取り続けた人である……などという事実が番組で紹介されていく。同時に、彼の著作では観察者の目が貫かれており、右にも左にも偏しない……というような評価も、周辺の人々によって行われていた。
また、社内でも人望があったようで、周りの人々の口からそれが語られていく。
『昭和史』などの著作も、若手の後輩編集者からの要望で始められた講演会を基に書かれたものであり、そのあたりの事情も詳しく語られていた。周囲の人によって語られる半藤氏の人となりは、著書を読んだときのイメージとかなり近く、この番組で紹介される氏は僕のイメージどおりの御仁であった。こういうのも、考えてみれば珍しい。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『100年インタビュー 半藤一利(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『幕末史(本)』竹林軒出張所『昭和史 1926-1945(本)』竹林軒出張所『昭和史 戦後篇(本)』竹林軒出張所『日本のいちばん長い日(映画)』竹林軒出張所『漱石の印税帖(本)』