カラーでよみがえるイギリス帝国
植民地の拡大と独立
(2019年・英Arrow International Media/米Smithonian Networks)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
近現代の英国対外政策の「映像の世紀」
出来が非常に悪かった
『カラーでよみがえる大英帝国』と同じシリーズかとも思ったが、製作会社が違っていた。日本語タイトルが似ているだけだった。この作品については、
『カラーでよみがえるアメリカ』シリーズと同じ製作会社(Arrow Media)が製作しており、そのため、『アメリカ』シリーズ同様、密度が濃かった。英国の目線で、近現代イギリスの対外政策史(多くは植民地政策だが)にスポットを当てるというもので、インドでの植民地支配や南アフリカを侵略したボーア戦争、東南アジア支配とその後の解放(マレーシアなど)などが通史的に描かれる。英国の目線であるため、多少、英国中心主義的な色彩を帯びている。
20世紀前半まで、世界中で数多くの植民地を獲得し、陽の沈まない国などと称されていた英国だが、2つの大戦を経て国家として疲弊、衰弱した後はそれまでの植民地政策を維持できなくなり、各植民地の独立を認めながら英連邦に組み込むという態度で臨むようになった。しかしこのような政策がすべてでうまく行ったわけではなく、たとえばインドでは、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立、インドとパキスタンの分離などという問題が起こり、英国はこれについて対応策を持たなかったため、印パ対立として現在に禍根を残す結果になってしまった。こういうような歴史が、カラー化映像で語られていく。
映像のカラー化については、色が不自然な箇所が多かったり(映像ではなく)静止画が比較的多いなど気になる点もあったが、全体的にしっかり構成されており、ドキュメンタリーとして見て楽しむ分にはまったく問題ない。歴史観は少し気になるが、歴史ドキュメンタリー作品としての仕上がりは非常に良いと言える。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 1、2(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえるアメリカ 3、4、5(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『再びカラーでよみがえるアメリカ 1(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『再びカラーでよみがえるアメリカ 2、3、4(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『新・カラーでよみがえるアメリカ 1〜3(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえる大英帝国(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『カラーでよみがえる大英帝国2(ドキュメンタリー)』