ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『光秀のスマホ 歳末の陣』(ドラマ)

光秀のスマホ 歳末の陣(2020年・NHK)
脚本:竹村武司
演出:田中涼太
出演:山田孝之、和田正人、島﨑信長、田中みな実、小島みなみ

新感覚の「時代錯誤型脱力系」SF時代劇

『光秀のスマホ 歳末の陣』(ドラマ)_b0189364_07413934.jpg 戦国時代の武将のコミュニケーションツールがスマホだったら……という反実仮想に基づいたドラマ。
 主人公は明智光秀で、浪人中の身から、足利義昭と織田信長の間を取り持つことで、信長の部下になる。その後、信長のパワハラめいた要求にも従い続けるが、ついにキレて信長を倒すも、やがて逃亡中に何者かによって竹槍で刺し殺されるまでが描かれる。秀吉はコミュニティ内(会社内風)の後輩という立場で、信長(重役風)に取り入るのがうまいが、私生活では恋人「おね」と愛人「南殿」の間で揺れ動く。やや優柔不断な人物像。
 光秀は、裏アカウントで上司、信長の悪口を書いたり、秀吉とフォロワー数を争ったりするというのが現代的な要素で、そういう部分が巧みに取り込まれていて、ドラマの中でよくまとまっている。
 映し出される映像は、ほとんどがスマホの画面であり、FUMI(LINEに相当するもの)などのSNSツールを駆使している手元の映像がほぼすべてである。僕自身は、この手の「時代錯誤型脱力系」SFドラマはあまり感心しないが、このドラマについてはまずまずよくできていると言える。歴史的な事実も割合そのまま踏襲されており、『麒麟がくる』のストーリーとも非常に近い。明智光秀を演じるのは、手元以外姿をまったく見せないが山田孝之である。演出は「福田雄一」風のスタイルだが(僕は福田雄一かと思っていた)、田中涼太って人である。軽いノリのドラマだが、手堅い演出で、十分鑑賞に堪える。
ギャラクシー賞2020年10月度月間賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『麒麟がくる (6)〜(44)(ドラマ)』
竹林軒出張所『聖☆おにいさん(映画)』
竹林軒出張所『女子ーズ(映画)』

by chikurinken | 2021-02-24 07:10 | ドラマ
<< 『新・人間交差点』(1)(ドラマ) 『麒麟がくる』(6)〜(44)... >>