天国は待ってくれる(1943年・米)
監督:エルンスト・ルビッチ
原作:ラズロ・ブッス=フェテケ
脚本:サムソン・ラファエルソン
出演:ドン・アメチー、ジーン・ティアニー、チャールズ・コバーン、マージョリー・メイン、レアード・クリーガー、スプリング・バイイントン
ある女好きのありふれた生涯 冒頭から地獄への受付(未来的な建物の中みたいな内装)のシーンで始まり期待を持たせるが、結局のところ、ある男の生涯がその男のナレーションを交えて描かれるという、きわめてありふれた内容のストーリーだった。ルビッチの映画らしく、軽妙なユーモアを交えて描かれてはいるが、さして特筆するようなところはない。
主人公ヘンリー(ドン・アメチー)は女好きの男だが、この映画では、彼が生まれてから死ぬまでの生涯がかいつまんで描かれる。このヘンリー、運命的なものを感じて妻(ジーン・ティアニー)と結婚するが、浮気癖が収まらず離婚の危機も発生したりする。それでも添い遂げ、結局妻には先立たれるも、女好きは治らず……という生涯を遂げる。
大した波乱もなく、割合順風満帆に進む人生は、ごくありふれた生涯であって、ドラマとして見ると少しもの足りない。当時のアメリカ映画でよく見られたような設定で、キレイキレイな部分だけを抽出したストーリーである。しかもストーリー自体も概説的であることだし、もう少しストーリーに波乱を起こすとか、どこかの部分にピンポイントで焦点を合わせるとかしないと、あまり物語的な面白味は出ない。それなりに楽しめる映画ではあるが、最後まで物足りなさは残る。
★★★参考:
竹林軒出張所『メリィ・ウィドウ(映画)』竹林軒出張所『ニノチカ(映画)』