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竹林軒出張所

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『日曜劇場 ダイヤモンドのふる街』(ドラマ)

日曜劇場 ダイヤモンドのふる街(1987年・北海道放送)
脚本:市川森一
演出:長沼修
出演:萬田久子、伊藤蘭、中村メイコ、大滝秀治、潮哲也

よくまとまった佳作ドラマ

『日曜劇場 ダイヤモンドのふる街』(ドラマ)_b0189364_22221168.jpg 北海道放送製作の東芝日曜劇場。舞台はやはり北海道、札幌。
 大手ブティックの札幌支店に派遣された新店長(萬田久子)の目線から、前店長(伊藤蘭)の揺れ動く心に迫るというストーリー。ちなみにこの前店長、会社の金、300万円を私的に流用し、しかも新店長赴任前日に行方をくらましている。いろいろと身辺であったようで、ドラマが進むうちにそのあたりが少しずつ見えてくる。
 少しミステリー仕立てになっていて、前店長の秘密を探っていくというアプローチがなかなか意欲的で、よくできたドラマと言える。1時間ドラマとしては、かなり冒険しているという印象で、日本民間放送連盟賞で優秀賞を受賞しているというのも頷ける内容と密度である。タイトルに入っている「ダイヤモンド」は、札幌でたまに見られるダイヤモンドダストのことで、主人公の新店長の学生時代の思い出に絡んだもの。札幌赴任後、つまりこのドラマの背景としても利用されるモチーフで、多少取って付けたような部分はあるが、良いモチーフと言える。
 脚本は市川森一だが、市川らしさもよく発揮された完成度が高い作品である。市川森一の傑作の1つと言ってよいのではないかと思う。
 キャストは、僕には萬田久子が少し珍しい感じがするが、当時よく出ていたのかも知れない。演技はそつなくこなしている。今よりふくよかに見える。伊藤蘭は、『春のささやき』に続く市川日曜劇場で、市川森一が気に入っていたのかも知れない。複雑な役回りだが、こちらもそつがない。中村メイコと大滝秀治のベテラン俳優も魅力的で、全体的に破綻がなく、よくまとまった佳作ドラマである。ただし見た後も心の中に残るというような要素はあまりない。
1987年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 春のささやき(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 林で書いた詩(ドラマ)』
竹林軒出張所『日曜劇場 天使を乗せたタクシー(ドラマ)』
竹林軒出張所『グッドバイ・ママ (1)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『花祭(ドラマ)』

by chikurinken | 2020-10-16 07:21 | ドラマ
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