ぼくらの60〜70年代熱中記
黒沢哲哉著
いそっぷ社
ベスト・オブ・懐かし本
(あくまで個人の感想です)
過去、このような種類の本をいろいろと読んできたが、この本は一番できが良い。1964年から1979年(プラス1982年)までに渡って、当時はやったものを1つずつ取り上げてテーマにし、それをエッセイにしたものである。全部で46章構成で、特定の年を代表するようなものが各章ごとに取り上げられている。取り上げられている題材は、64年の『おそ松くん』から始まって、65年の『ザ・ガードマン』、66年の『巨人の星』、68年の
『キイハンター』、「ピンキーとキラーズ」という具合に続く。題材は多岐に渡っているが当時の子どもの目を引いたものばかりで、当時子どもだった僕も大いに共感するところである。著者は世代的に僕と割合近いため、取り上げられるものはほとんどが僕自身リアルタイムで経験しているものである。
しかもこの著者、こういったものの関連グッズを多数収集している人らしく、そのコレクションを惜しげもなく(?)本書に(写真で)提供している。こういったグッズ自体にはそれほど懐かしさは感じないが、しかしよくこれだけのものをとっていたなと感心する。この著者、前に紹介した
『ぼくらの60〜70年代宝箱』の著者でもあり、そのコレクションたるや相当なものであることが、この両書から窺われる。
本書で取り上げられている流行り物の中には、僕自身が当時あまり関心がなかったものも含まれており、著者と嗜好の温度差を感じるものもあるが、それでもかなりの範囲で共通していると感じる。当時の子どもたちの趣味は、地理的な枠を超えて共通していたことがわかる(著者は葛飾柴又育ち)。もちろんこういう感慨を持つのは、ここで取り上げられているものが当時メジャーだったものばかりであるためでもあるが、そういう点で、本書のテーマ選択は絶品と言える。エッセイ自体も内容が面白いため、読んでいて飽きない。同世代の人間にとっては、ベスト・オブ・懐かし本と言えるのではないだろうか。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『ぼくらの60〜70年代宝箱(本)』竹林軒出張所『昭和ちびっこ広告手帳(本)』竹林軒出張所『昭和子どもブーム(本)』竹林軒出張所『キックの鬼』竹林軒出張所『キイハンター (1)、(2)(ドラマ)』竹林軒出張所『青空にとび出せ! (1)、(2)(ドラマ)』