日曜劇場 アポイの休日(1965年・北海道放送)
脚本:松山善三、林秀彦
演出:小南武朗
出演:宇野重吉、湯浅みつ子、佐々木すみ江、佐野浅夫
教育映画みたいな味気なさ
昭和40年に放送された日曜劇場。フィルム撮影されているため、映像は今見ても割合きれいである。
舞台は北海道のアポイという山の麓の村。全国をまわっているある養蜂家(宇野重吉)が、この土地を訪れる。その土地で地元の少女(湯浅みつ子)に懐かれ、交流が始まるというストーリー。
この少女には発話障害があって、養蜂家の方も何だか過去があるらしく(少女との対話で語られる)、そういった人々の交流がこのドラマの主軸になる。地元の子ども達のいたずらが原因で、少女がミツバチに刺され、そこから話が急展開していくが、それでも大した起伏があるわけでもなく、何となく終わってしまった。こういうストーリー上の物足りなさが残念で、やや狙いすぎの脚本だったと言えなくもない。
キャストは、この二人の他に、少女の両親(佐野浅夫と佐々木すみ江)が出るくらいだが、皆一様にうまい役者で、演技の水準は高い。途中、昆虫や花などの情景がモンタージュされるカットが続くなど、映像的には意欲的ではあるが、こちらもやや狙いすぎという観がある。こういうところから推測すると、映画並みの芸術作品を志向していたのではないかと思える。ただ、技術的には映画を超えていると言えなくもないが、内容的には並の線で、さながら教育映画みたいに味気なかった。
★★★参考:
竹林軒出張所『名もなく貧しく美しく(映画)』竹林軒出張所『典子は、今(映画)』竹林軒出張所『乱れる(映画)』竹林軒出張所『日曜劇場 海はこたえず(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 わかれ(ドラマ)』