日曜劇場 乙姫先生(1976年・北海道放送)
脚本:山田洋次、高田三郎
演出:甫喜本宏
出演:吉永小百合、太宰久雄、赤塚真人、小野武彦
ありふれたストーリーだが
よくまとまっている 山田洋次作の日曜劇場。親の死で高校を辞めざるを得なくなった生徒と、その学校の先生との触れあいを描く。同じ日曜劇場の
『海はこたえず』と同じようなストーリーである。当時、社会的にこういうケースが多かったということだろうか。
主人公の学校の先生は、「乙姫先生」と呼ばれる音楽教師、田鶴子(吉永小百合)で、かつての婚約者は世界的なピアニストになった演奏家(小野武彦)である。自身でも演奏家を目指していた田鶴子は、現在田舎で教師をしているが、音楽などよくわからない生徒たちを前にする毎日で、あまり満足感はない。そんな田鶴子が出会うのが、クラシック音楽に対してまったく関心のない生徒(赤塚真人)で、この生徒、田鶴子との間で軋轢が生じるんだが、母が突然死んだことから、学校を辞めて働かなければならなくなる。これを承けて田鶴子は、彼の家庭に積極的に関わり始めるというようなストーリーである。
ストーリーにはあまり意外性がなく、いかにも1時間ドラマというようなまとめられ方ではあるが、それなりにいろいろな要素が盛り込まれている。ただ登場人物は少々ステレオタイプではある。また、なんで「乙姫先生」と呼ばれているのかは最後まで明かされず、少々モヤモヤした(この愛称はどうでも良いってことか)。
このドラマの最大の見所は吉永小百合の美しさで、(この頃の)山田洋次との組み合わせも珍しい。それにテレビ出演自体が少ない女優なので、日曜劇場のような小品に出ているというのも意外な感じがする。
今回見たのは、日本映画専門チャンネルで放送されたものだが、放送された映像には途中CMも入っており、こちらもなかなか懐かしく面白いものだった。ということで放送された素材は、元々がテレビ放送を録画したものだったようだ。76年のドラマであることを考えると、(オリジナルでない)こういう形式も珍しい(この時代の作品は割合オリジナル映像が残されている)。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『日曜劇場 海はこたえず(ドラマ)』竹林軒出張所『日曜劇場 ぼくの椿姫(ドラマ)』竹林軒出張所『男はつらいよ(ドラマ版)(1)、(26)(ドラマ)』