北の国から (1)〜(12)(1981年・フジテレビ)
脚本:倉本聰
演出:富永卓二、杉田成道、山田良明
出演:田中邦衛、吉岡秀隆、中嶋朋子、いしだあゆみ、竹下景子、大滝秀治、岩城滉一、今井和子、原田美枝子、地井武男、清水まゆみ、熊谷美由紀、大友柳太朗、中澤佳仁、宮本信子、小松政夫
やはり『北の国から』は面白い 倉本聰の代表作にして出世作であり、日本のテレビドラマを代表する作品である。
妻の不倫が原因で離婚した男、黒板五郎(田中邦衛)が、二人の子どもを引き取って故郷の北海道に戻るというところから話が始まる。ただ、戻った故郷の家は、富良野の外れにあるあばら屋で、水道も電気も引かれていない。東京育ちの子ども達は面食らうが、それでも徐々に環境に慣れていき、「ないものは自分で作るか我慢する」という父の生き方にも適応していく。
すでにこれまで何度か通しで見ている作品で、しかもその後の特別編もすべて見ているが、今回日本映画専門チャンネルで放送されていることから、数十年ぶりで毎週見ているという状況である。正直、最初はあまり食指が動かなかったが、見始めたら止められなくなった。放送当時も、最初の頃は視聴率が奮わなかったが徐々に人気を集めていったというが、僕自身がそれをリアルに体感していることになる。
自然の厳しさと、それに対峙する人間……という図式が全編を貫いているが、そこに暮らす人々の営みも(当然のことながら)大きな柱になる。田舎ならではの人間関係の複雑さもあり、そのあたりもリアリティがある。また登場人物の魅力も大きく、それぞれの登場人物に現実感があるのは、倉本聰の真骨頂と言える。
現在、半分の第12回まで見たところだが、ここらあたりからストーリーが大きくうねり始める。ただここまでも印象に残るシーンは随所にあり、特に第10回の、雪子(竹下景子)と純(吉岡秀隆)の車が雪に埋もれてしまうシーンは、大変大きなインパクトを残す。さらに第12回の、野生動物を可愛がること、狩猟することの是非を問うような問題提起も大変面白い。このシリーズの中盤あたりから、ドラマとしての重厚さをどんどん増していき、一つの世界観が形成されていく過程が窺われる。やはり、日本ドラマ史上の最高傑作の一本と言える作品である。
第14回テレビ大賞、第19回ギャラクシー賞受賞
★★★★参考:
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