ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK(2016年・英)
監督:ロン・ハワード
脚本:マーク・モンロー
出演:ザ・ビートルズ、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター(ドキュメンタリー)
60年代のビートルズ現象を紹介、分析
ザ・ビートルズがライブ活動を行っていた時代を追ったドキュメンタリー。当時のライブ映像と、関係者のインタビューで構成された作品である。
メジャーデビューする以前から、リバプールをはじめ、各地でコンサート活動をしていたが、62年に「Love Me Do」がヒットし、一挙に全英で名前が知られるようになる。その後、他国にもビートルズの音楽が紹介され、ポップ音楽の聖地、アメリカでもナンバーワンヒットになり、その名前と音楽が世界中の若者の間に浸透していく。それにあわせてコンサート活動を世界中で展開し、多くの若者を会場に惹きつける。狂乱のコンサート会場は社会現象にまでなっていく。
その後も立て続けにヒットを出し続け、狂乱のコンサートは続くが、やがてコンサート会場は巨大化し(観客の収容人数を増やせという要求が警察当局から出たため。収容しきれない若者が会場の外で騒ぎを起こし警察当局が対応できなくなったことから)、あげくにアメリカでは球場でコンサートを行うまでになる。同時にジョン・レノンの「ビートルズはキリストより有名」という発言が、アメリカで物議を醸し、彼らの身の危険まで危うくなる。日本でも右翼がビートルズのコンサートに反対し騒ぎを起こすという動きが出て、ビートルズのメンバー自体がコンサート活動自体に嫌気がさしたため、その後はスタジオ録音が彼らの活動の中心になっていく。
その後に行われた唯一のコンサートは、1969年、解散の直前にアップルスタジオの屋上で行われた伝説の「ゲットバック」セッションで、ここまでがこの映画で扱われる。
コンサートはほとんどが時系列で順を追って紹介されていき、それぞれのコンサートに携わった人、あるいは観客として参加した人がインタビュイーとして映画に登場する。中には、観客としてコンサートに立ち会ったウーピー・ゴールドバーグやシガニー・ウィーヴァー、マルコム・グラッドウェル(
竹林軒出張所『天才! 成功する人々の法則(本)』を参照)なども出てくる。日本公演については、浅井愼平が語り、当時の右翼の反ビートルズ騒ぎについて見解と分析を述べている。なかなか鋭い分析であった。
ビートルズは、アルバム『ラバー・ソウル』以降、音楽的に変質していき、特に『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』からはまったく新しい音楽を世に出していくため、この後がビートルズの歴史としては一番面白い部分なんであるが、残念ながらこのドキュメンタリーはあくまでコンサート中心であるため、『サージェント・ペパーズ』以降は、ごく簡単な紹介のみにとどまってしまった。とは言っても、ビートルズのコンサート活動、そしてその社会的影響が非常に詳細に紹介されていて、しかも当事者であるメンバーたちのインタビューも紹介されるため、内容は重層的で、社会現象としてのビートルズ現象に正しくアプローチできるようになっている。よくできたドキュメンタリーである。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『The Making of Sgt. Pepper(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『サージェント・ペパー(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『ビートルズとインド(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『天才! 成功する人々の法則(本)』