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竹林軒出張所

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『映像の世紀プレミアム 14』(ドキュメンタリー)

映像の世紀プレミアム 第14集 運命の恋人たち
(2019年・NHK)
NHK-BSプレミアム

この企画も14回続いてこなれてきたか

『映像の世紀プレミアム 14』(ドキュメンタリー)_b0189364_14170374.jpg 『映像の世紀』の映像をテーマごとに再構成した『映像の世紀プレミアム』。第14集は「運命の恋人たち」と名うって、近現代に世界中で話題になった恋愛事件を紹介していくというアプローチ。『映像の世紀』と重複した映像はあまりなかったようだ。
 このドキュメンタリーに登場するのは、ボニーとクライド、エドワード8世、マグダ・ゲッベルス(ナチスのゲッベルス宣伝相の妻)、イングリッド・バーグマン、グレース・ケリー、エルトン・ジョンなど。
 それぞれのエピソードが順に紹介されていくが、エピソード同士の繋がりがなかなか凝っていて、ナチス・ドイツと友好関係にあった英国王、エドワード8世に続いて、ナチス・ドイツのマグダ・ゲッベルス(ナチスのゲッベルス宣伝相の妻)、ナチス・ドイツで若い女優に手をつけていたゲッベルスの逸話から、当時ドイツ映画に出演していてゲッベルスともニアミスしたイングリッド・バーグマンと続き、それに続いて同じハリウッド女優のグレース・ケリーに移っていく。見事な流れである。
 なおそれぞれについて説明しておくと、エドワード8世は、王位にあるときに既婚の女性と恋愛関係に陥って大バッシングを受け、王座を降りてこの女性と結婚した元英国王。マグダ・ゲッベルスはヒトラーに恋していたが、ヒトラーが結婚しない方針だったため(アイドルとして女性の支持を維持したかったらしい)その側近であるゲッベルスと結婚し、ナチスが提示する理想的な家族像をひたすら演じていった女性である。その後ゲッベルスとの間は相当冷え込み、離婚をヒトラーに申し入れたが説得され、結局敗戦直前に家族全員で毒を飲み命を絶った。イングリッド・バーグマンは、既婚であったにもかかわらずイタリアの映画監督、ロベルト・ロッセリーニの才能に惚れ込み彼の元に走ったことがスキャンダルになった。グレース・ケリーは、モナコ国王と結婚し王妃になったが、その実、父の愛をずっと求め続けていた……。こういったエピソードが順に紹介される。最後のエルトン・ジョンについては、バイセクシャルであることを公表したために英国中でバッシングに遭い傷つくが、その後時代が変わって同性婚が認められると、いち早くその恋人と結婚を果たしたという話が紹介される。
 ボニーとクライド、バーグマン、グレース・ケリー以外はどの話もあまり知らない逸話だったため、なかなか勉強になった。バーグマンとグレース・ケリーについても、彼女たちの内面で何が起こっていたかは知らなかったわけで、そういう点でも僕にとっては全編濃密だった。映像も全体的に非常に良いものが揃っていたように思う。
 さすがにこの企画も14回続いてこなれてきたせいか、今回は見所が多く水準が高かった。それにしても随分続くなという印象で、当初は5、6回で終わるものだとばかり思っていた。この分だと第15集も出てきそうだ。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 1(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 2(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 4(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 7(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 8(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 12(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 13(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 15(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 16(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 17(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 18(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀プレミアム 21(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『俺たちに明日はない(映画)』
竹林軒出張所『ヒトラー 最後の日々(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2020-01-03 07:09 | ドキュメンタリー
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