モリのいる場所(2017年・「モリのいる場所」製作委員会)
監督:沖田修一
脚本:沖田修一
出演:山崎努、樹木希林、加瀬亮、吉村界人、光石研、青木崇高、吹越満、池谷のぶえ、きたろう
退屈な上、気分もあまり良くない作品
画家、熊谷守一の晩年のひきこもり(?)生活を描いた映画。
熊谷守一は、晩年、脳卒中を患ったこともあって、自身の家と30坪の庭から一切外に出ることがなくなり、庭の中で自然を愛でることで毎日を過ごしていた。文化勲章や叙勲も辞退したため、やや変わった存在として今に伝えられている。絵自体も、子どもが描いたようなプリミティブな作品ばかりで、その異色さに花を添えている。
その守一(モリ)のある1日を、面白おかしく描いたのがこの作品。見る前はかなり期待していたんだが、途中ドリフのコントを彷彿させるような演出(金たらいが頭の上に落ちてくる)があったりして(笑わそうとしているんだろうが)、あざとさが鼻について、ついていけなくなった。確かにのんびりした空気感は伝わってくるにはくるが。モリが庭の中をウロウロするシーンも、ダラダラという感じで続けられるため途中で眠たくなってしまう。もう少し緊張感を盛り込むなどの工夫が欲しいところである。
盛り込まれたエピソード(長野から出てきた人が揮毫をお願いする話や近隣のマンション建設の話)も面白味のないものばかりで退屈。奇行の多いモリに対して小馬鹿にしたような視線まで感じられ、気分もあまり良くない。
監督は『南極料理人』の沖田修一。あの映画みたいな乾いたユーモアがあればまだ良かったのにと思う。僕としては残念な作品であった。
★★★参考:
竹林軒出張所『南極料理人(映画)』竹林軒出張所『フルーツ宅配便 (2)〜(12)(ドラマ)』竹林軒出張所『神の手を持つ絵師 若冲(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『寺内貫太郎一家 (22)(ドラマ)』