まんが道 青春編(1987年・NHK)
原作:藤子不二雄
脚本:布勢博一
演出:森平人
出演:竹本孝之、長江健次、伊東四朗、江守徹、ケーシー高峰、水前寺清子、北村総一朗、富士真奈美、天地総子、蟹江敬三、赤塚真人、河島英五、鈴木保奈美、森高千里、小野寺丈、松田洋治、西山浩司、須間一也、森川正太、新井つねひろ、高木美保、野村真美、吉幾三、高田純次、大杉漣
新旧を取り混ぜた結構なキャスティング
安孫子素雄(藤子不二雄A)原作の自伝的マンガ、『まんが道』は、その人気を反映して1986年にドラマ化され、NHKの『銀河テレビ小説』枠で放送された。ドラマ『まんが道』は、主人公の2人(藤子不二雄の2人がモデル)が故郷の高岡を出て、マンガ家を目指し上京するまでを描くものだが、上京後実際にマンガ家になる過程が描かれるのが、続編とも言える本作、『青春編』である。最初のドラマから1年後に、同じ『銀河テレビ小説』枠で放送された。
上京後、いったんは親戚の家に厄介になるが、その後、あこがれのトキワ荘に転居し、大勢の新人マンガ家、マンガ志望者たちと出会い、切磋琢磨していくというストーリーである。前半は、徐々に仕事が増え始めマンガ家として独り立ちしていく過程が描かれ、後半は藤子不二雄が各誌の連載や読み切りを大量にまとめて落としてしまったエピソードが大きなテーマになる。トキワ荘のメンバーとの出逢いや別れもストーリー上の大きな柱になる。そのため当時の新人マンガ作家(およびマンガ志望者)たちが実名で登場する。寺田ヒロオ(河島英五)をはじめ、石森章太郎(小野寺丈)、赤塚不二夫(松田洋治)、鈴木伸一(新井つねひろ)、つのだじろう(須間一也)、森安なおや(森川正太)、永田竹丸(西山浩司)らがトキワ荘のメンバー(のちに新漫画党を結成)として登場するが、今見れば錚々たるメンバーである。下積み時代の彼らが、藤子不二雄ともども、少しずつ名前を売っていく過程が、このドラマの目玉と言えるか。また編集者たちや手塚治虫(江守徹)との関わりも見所の一つである。
『トキワ荘の青春』を藤子不二雄(安孫子素雄)の視線で描いた作品とも言える。

前にも書いたが、キャストがなかなか豪華で、特に名前が出る前の鈴木保奈美と森高千里は初々しくて特筆ものである。寺田ヒロオを演じる河島英五にしても、当時はあくまでミュージシャンであって、ドラマ出演はかなり珍しかったと記憶している。大杉漣や段田安則も名前が売れる前で、編集者としてチョイ役で登場している。ベテラン、新人を取り混ぜた結構なキャスティングであった。当時のNHKのパワーを感じさせる。
演出はややオーバーアクトで、全体的にありきたりなものではあるが、『銀河テレビ小説』枠であることを考えると致し方ないような気もする。元の放送は20分×15回で、3週間で完結した。今回僕が見たのはBSトウェルビで放送されたもので、週2回分、しかも途中何週か飛ばされるという放送形式だったため、終わるまでに3カ月以上かかっている。前にも書いたが、こういったいい加減な放送パターンは、作品を冒涜しているのではないかとさえ感じる。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『まんが道 (1)、(2)(ドラマ)』竹林軒出張所『まんが道 (3)〜(15)(ドラマ)』竹林軒出張所『トキワ荘青春日記―いつも隣に仲間がいた…(本)』竹林軒出張所『夢追い漫画家60年 (100年インタビュー)(本)』竹林軒出張所『トキワ荘の青春(映画)』竹林軒出張所『まんが トキワ荘物語(本)』竹林軒出張所『トキワ荘の時代―寺田ヒロオのまんが道(本)』竹林軒出張所『烏城物語(本)』