日本代表 “奇跡”の先へ(2019年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル
ラグビーW杯観戦ガイド
ラグビーには今まであまり興味がなかったが、先日のワールドカップ初戦、日本対ロシアの試合を見て、いろいろと感じるところがあり、それから関心を持つようになった。日本チームの活躍云々ではなく、レフェリーと選手の関係性とかノーサイド精神とかに感心したんである。特にレフェリーが、ラック内にいる選手に「Release the ball!(ボールを放せ)」、「Goodman!(いいぞ)」などと呼びかけていたのが面白い。ワールドカップという世界最高峰の檜舞台でありながら、まるで学校内のスポーツであるかのように思えて、親近感を持ったのだった。
まあそれはともかく、前回のワールドカップでは、日本代表が南アフリカ代表を破り活躍したわけだが、今回は自国開催ということで、決勝トーナメントに進出することが目標ということになっている。
前回のヘッドコーチ、エディー・ジョーンズはワールドカップで3勝するという十分な実績を上げたが(日本代表はこれまで全大会を通じ1勝しかしていなかった)、先のワールドカップ終了後に辞めたため、ジェイミー・ジョセフが新しくヘッドコーチ(HC)に就任することになった。ジョーンズ前HCは、堅実なプレイを選手に強い、規律と命令系統をしっかり確立した軍隊のような組織を打ち立て、それで結果を残したわけだが、新しいジョセフHCは、選手が主体的に取り組むことを要求した。従来のやり方に慣れていた選手たちは戸惑いを見せ、そのためにHCと選手との間で軋轢も出たが、徐々に選手の側も理解を深め、HCと選手の間にも一体感が生じるようになる。同時に結果も伴うようになってきた……というような、いかにもワールドカップを盛り上げるために作りましたというようなドキュメンタリーである。
具体的には、オフロードパスやキックパントについても新チームでは活用していこうという戦術らしいが、これは、リスクが高いことからジョーンズ時代には禁止されていたらしい。こういうことについての知識があれば、確かに競技観戦を楽しむことにつながるだろう。本当のところ、僕のようなラグビー素人が見ていて一番面白いのは、意外性が多いオフロードパスやキックパントなんであって、こういう技を活用する方がファンは増えるんじゃないかとも個人的には思う。もちろん堅実性を大切にするというのも一つの方向性であり、通のファンには好まれるかも知れないが、そのあたりは僕にはよくわからない。とにかく、ワールドカップラグビー(特に日本戦)を観戦する上で、有効なドキュメンタリーにはなっている。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『ラグビー 永遠のライバル史(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『日本サッカーの50年(ドキュメンタリー)』