ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『お父さんと私の“シベリア抑留”』(ドラマ)

お父さんと私の“シベリア抑留”
~「凍りの掌」が描く戦争~
(2019年・NHK)
原作:おざわゆき
脚本:開沼豊、岩瀬晶子
演出:木學卓子、小山靖史
出演:木村多江、古谷一行、小手伸也、田根楽子

ドラマ部分は不要!

『お父さんと私の“シベリア抑留”』(ドラマ)_b0189364_13581365.jpg 「ドラマとマンガが大胆にコラボ」した「新感覚のドラマ」(ホームページより引用)らしい。早い話が、ドラマ部分に、マンガのコマをアップにして声を入れた映像を混ぜ込んでいくという手法で、「新感覚」というより「手抜きのドラマ」という感じがする。
 ドラマ部分は、マンガ家、おざわゆきがスランプで苦しんでいるときに、父のシベリア抑留の体験談をマンガ化することを思いつき、それをマンガにしていった、その後マンガの新人賞を受賞したという(途中逡巡はあるが)それだけの単純なストーリーで、通常であればドラマとしては成立しないような題材である。ただ、シベリア抑留を描いた原作マンガ『凍りの掌』がなかなかよくできていて面白いんで、その点だけがこのドラマの唯一の救いになっている。結局のところ、マンガの紹介ドラマみたいなものになっていて、これを「ドラマ」と呼んでしまうと、ちゃんと作られたドラマに申し訳ないというような、作り手の「いい加減さ」が漂う「ドラマ」である。
 僕自身、マンガ作品、『凍りの掌』には関心が沸いたんで、『凍りの掌』の紹介という、この番組の意図は達成されているとも考えられる。要は、体験談を基にした話には説得力があるということである。ドラマの部分も考えようによっては体験談ではあるが、それにしても内容があまりに陳腐で、この程度の素材でドラマを作ったらいかんだろというような浅薄さはいかんともしがたい。あくまでもマンガ作品の付随としてのドラマと考えなければならない。
★★★

参考:
竹林軒出張所『凍りの掌 シベリア抑留記(本)』
竹林軒出張所『俘虜記(本)』
竹林軒出張所『コミック昭和史 第5巻、第6巻、第7巻、第8巻(本)』
竹林軒出張所『野火(映画)』

by chikurinken | 2019-10-01 06:57 | ドラマ
<< 『凍りの掌 シベリア抑留記』(本) 『カフェでカフィを2』(本) >>