仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年・東映)
監督:深作欣二
原作:飯干晃一
脚本:笠原和夫
出演:北大路欣也、千葉真一、菅原文太、梶芽衣子、成田三樹夫、小池朝雄、名和宏、室田日出男、前田吟、加藤嘉、山城新伍、川谷拓三
興奮だけは伝わってくるが
感情移入できない
戦後まもなくの「広島ヤクザ抗争」を描いた
『仁義なき戦い』の続編。
主役は、前作の菅原文太演じる広能昌三から、山中正治(北大路欣也)と大友勝利(千葉真一)へと移る。例によってタマを取ったり取られたりの抗争で、殺伐とした映画である。勝手な思い込みから恩人を殺したりとか、自分の利益のために人を殺したりとかいった事例が多く、前作のような「義」の要素が少ないこともあって、見ていてあまり気持ちの良い作品ではない。
またドンパチのシーンも、カメラが近く、しかも被写体が動き回るため、何だかよくわからず、動きは表現できているがそれだけというようなもので、あまり効果的ではない。さらに夜のシーンは画面が真っ暗に近く、これも何だかよくわからない。正直言って、映像はあまりうまいこと表現できていないと感じる。70年代の日本映画の映像はこういう自己満足のようなものが多かったな、などと感じたりもしてくる。
北大路欣也と千葉真一はこの作品で新境地を開いたらしいが、しかし映画作品としては、あまり特筆すべきことがないという印象である。もちろん、これは「義」がないと納得できないという僕の感想であって、ダーティ・ヒロイズムが好きな人にはたまらないかも知れない。ただ個人的には、このシリーズはもう見る必要がないと感じた。これで見納めである。
★★★参考:
竹林軒出張所『仁義なき戦い(映画)』竹林軒出張所『青春の門 (東映版)(映画)』竹林軒出張所『冬の華(映画)』竹林軒出張所『女囚701号 さそり(映画)』竹林軒出張所『キイハンター (1)、(2)(ドラマ)』