のんのんばあとオレ (1)、(2)(1991年・NHK)
原作:水木しげる
脚本:高橋正圀
演出:兼歳正英
出演:佐藤広純、山田昌、岸部一徳、もたいまさこ、笹野高史、浜村純
水木サンの原体験
ドラマとしてはちょっと物足りない この作品がNHKで放送されたこと自体は覚えているが、そもそも放送当時見ていなかったため、これが「ドラマ愛の詩」というシリーズで、月曜日から金曜日まで連続で放送されていたというのはまったく知らなかった。ちなみに30分枠で、原作は水木しげるのエッセイである。
今回DVDを借りて見たんだが、ドラマとしては少々物足りないという印象で、5本分収録されていたにもかかわらず2本で飽きてしまった。ただ見ているうちに原作の方を読んでみたいもんだと考えていたのも事実で、要するに原作には興味が湧くが、このドラマについてはもう一つということなのである。原作は散文のようだが、いずれ読んでみるつもりではいる。
ストーリーは、水木しげるの幼少時の話であり、(水木が少年時に多大な影響を受けたらしい)「のんのんばあ」という老女と茂少年(水木の分身)との交流が描かれる。水木しげるのいわば原体験が描かれるため、妖怪も随所に出てきて、いかにも水木作品という雰囲気を漂わせる。なお、登場するさまざまな妖怪はアニメで表現される。
素材は興味深いんだが、やはりドラマに華がないと感じてしまう。それに演出がありきたりであるため、あまり見続けようというモチベーションが沸かない。テンポもあまり良くない。おそらくこのシリーズ自体に(「少年ドラマシリーズ」みたいな)子ども向け番組の要素があったようで、それが大きいのかと思う。そういうことがわかっていたらまたそういう目で見たんだろうが、少なくともこのドラマからは水木作品のダイナミズムみたいなものは感じられなかった。
第7回文化庁芸術作品賞受賞
★★★参考:
竹林軒出張所『のんのんばあとオレ (1)、(2) (マンガ版)(本)』竹林軒出張所『のんのんばあとオレ(本)』竹林軒出張所『ほんまにオレはアホやろか(本)』竹林軒出張所『ねぼけ人生(本)』竹林軒出張所『鬼太郎が見た玉砕(ドラマ)』竹林軒出張所『水木しげるの遠野物語(本)』竹林軒出張所『水木しげるの泉鏡花伝(本)』竹林軒出張所『蜃気楼博士 (1)〜(12)(ドラマ)』