このクスリがボケを生む!
近藤誠著
学陽書房
薬剤の副作用は看過できないレベルである
薬剤によってボケ(認知症)をはじめとする副作用が生み出されている現状を告発する本。
本書では薬剤がボケ症状を生み出す(認知機能を害する)ことをケモブレインと呼んでいるが、このケモブレイン、著者によると、我々が想像するよりはるかに広い範囲で発生しているらしい。「日本のボケ(認知症と軽度認知障害)人口の半分くらいは、ケモブレインのために認知機能が低下した」とまで言い切る。しかも「それらの人びとは、クスリをやめれば認知機能が改善するか、ボケが治る可能性があります」とも言う。
本書では、降圧剤、胃薬(市販のガスター10なども含まれる)、カゼ薬(抗コリン薬:パブロンやルルなど)、血糖降下剤、コレステロール低下薬、さらにはワクチンや抗がん剤、今流行りのオプシーボまでが俎上に上がる。しかも、他の近藤誠の著書と同様、どれも説得力があるため、一々納得する。特にワクチンとオプシーボの記述は出色である。なお、この著者、ワクチンについては
『ワクチン副作用の恐怖』という本でもぶった切っているようである。それからオプシーボについては、NHKをはじめとするマスコミがやたら持ち上げて、危険性がないことにされ、夢の治療薬みたいに扱われることが多いため、本書のような第三者的で冷静な記述は非常に貴重である。
本の体裁は、文字が大きく、いかにも一般人向けという感じで読みやすいが、本の性質上、薬剤の名前が非常に多く出てきて、その点が読みづらさにつながっている。ただ自分が今処方されている薬があるような場合、問題がある薬剤の名前が紹介されていればそれを参考にすることができるため、明らかにプラスである。簡易リファレンスのための本であると考えれば十分利用価値がある。
著者のように、現代の医療に対して警鐘を鳴らす人の存在は非常に貴重で、しかもこの著者の場合、文章が読みやすく内容について平易に説明できるという稀有な才能があるため、どの著書も価値が高い。それでも医学界の現状に気付かず(あるいは故意に無視し)、相変わらず無価値あるいは有害な医療行為を受けている人が後を絶たないのは大変嘆かわしい状況である。誰もが、自ら積極的に知識を身に付けて自分の頭で考えるという習慣を身に付けてほしいものである。現代では正確な情報を得られるかどうかが生活と生命に大いに影響するのであるから。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『近藤誠の本、5冊』竹林軒出張所『成人病の真実(本)』竹林軒出張所『医原病(本)』竹林軒出張所『健康診断は受けてはいけない(本)』竹林軒出張所『オピオイド・クライシス(ドキュメンタリー)』竹林軒『書籍レビュー:この本をすすめる本当の理由』竹林軒出張所『日本は世界一の「医療被曝」大国(本)』竹林軒出張所『ワクチン副作用の恐怖(本)』竹林軒出張所『これでもがん治療を続けますか(本)』竹林軒出張所『がん放置療法のすすめ(本)』竹林軒出張所『大学病院が患者を死なせるとき(本)』竹林軒出張所『新型コロナとワクチンのひみつ(本)』竹林軒出張所『子宮頸がんワクチン事件(本)』竹林軒出張所『どうせ死ぬなら「がん」がいい(本)』竹林軒出張所『「健康不安」に殺されるな(本)』竹林軒出張所『認知症の第一人者が認知症になった(ドキュメンタリー)』