ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『フルーツ宅配便』(2)〜(12)(ドラマ)

ドラマ24 フルーツ宅配便 (2)〜(12)(2019年・テレビ東京)
原作:鈴木良雄
脚本:根本ノンジ
演出:白石和彌、沖田修一、是安祐
音楽:高田漣
出演:濱田岳、仲里依紗、松尾スズキ、荒川良々、前野朋哉、原扶貴子、田中哲司、徳永えり、山下リオ、北原里英、成海璃子、山口美也子、筧美和子

世相を見事に映し出したドラマ
それでいてエンタテイメントとして成立している


b0189364_15151869.jpg 鈴木良雄の同名マンガのドラマ化作品。原作マンガの『フルーツ宅配便』は、「フルーツ宅配便」という名前のデリヘル業者での人間模様を描く作品で、現代の世相や貧困を赤裸々に描いているリアリズム・マンガである。
 主人公の咲田真一(濱田岳)が、ひょんな巡り合わせで、デリヘル店「フルーツ宅配便」の見習い店長になる。そこに集まるワケありのデリヘル嬢が中心になって話が展開していくという作品である。原作に基づく話が中心で、そこに、全体を貫くドラマなりのストーリーが絡んでいく。原作で描かれる女性の貧困の話がかなり辛いもので、そのままドラマにしてしまうと現実世界の厳しさが前面に出てきて救いがなくなる。そのためもあって、笑いやとぼけた要素も交えて、エンタテイメント的な要素も存分に入れられている。ドラマとしては、非常に良い配慮だと思う。
 ドラマでは(原作でもそうだが)毎回1人のデリヘル嬢が主人公になって、その女性の背景が描き出される(ほとんどは金やダメ男に苦しんでいる話)。タイトルもその主人公の源氏名(果物の名前)になる。「ドラゴンフルーツ」(ドラゴンフルーツという源氏名の女性は、伝説のデリヘル嬢であるが今は掃除婦をやっているばあさんという設定)は原作ではものすごいインパクトがあったが、ドラマではなんと山口美也子が演じていて、「山口美也子が婆さん役か……」と思うと、なかなか複雑な心境になった。b0189364_15152311.jpgキャストで言えば、第2回では成海璃子がモモ役でデリヘル嬢を演じていて、少々場違いな印象を受けたが、存在だけでインパクトがあった。なおこの回は、元木大介が本人役で出ていたが、意図がわからない。どうして元木だったのか、せっかく出すんならもう少し大物でないとつまらないだろうと思うが(それなりに面白さはあったが)。
 ドラマではともすると、人身売買とか覚醒剤とか暴力とか、ダークな世界が出てくるので、必ずしも楽しい気分になるようなドラマではない。EGO-WRAPPIN’のオープニングテーマ曲(「裸足の果実」)がこういったダークな雰囲気を定義しているようにも思え、なかなか良い選曲だと思わせる。エンディング曲は逆に少々明るい音楽で、ドラマで少し沈んだ気持ちが和らげられ救いがもたらされる。高田漣の選曲らしいが、非常にお見事である。
 原作の味を活かしながらも、連続ドラマとして成立するような改変を施しているなど、全体的にはよく練られた脚本と言える。ただし最後の方で、風俗嬢が売り飛ばされ一生監禁されるという「売春島」などというネタが出てきたりして、見ていてアホらしくなってくる。もう少し何とかならなかったものかと思う。原作がリアリズムの作品で、それが根底にあるんだからファンタジーを盛り込んじゃいけません。濱田岳と仲里依紗の魅力で何とか成立していたのが救い。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『フルーツ宅配便 (1)(ドラマ)』
竹林軒出張所『貧乏まんが(本)』
竹林軒出張所『最貧困女子(本)』
竹林軒出張所『アオイホノオ (1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『俺のダンディズム (1)〜(3)(ドラマ)』
竹林軒出張所『終電バイバイ(2)〜(4)(ドラマ)』

by chikurinken | 2019-04-09 07:18 | ドラマ
<< 『怪獣大戦争 キングギドラ対ゴ... 『学校って何だろう』(本) >>