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竹林軒出張所

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『学校』(映画)

学校(1993年・松竹)
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
音楽:冨田勲
出演:西田敏行、竹下景子、裕木奈江、中江有里、萩原聖人、新屋英子、翁華栄、田中邦衛、神戸浩、渥美清

安い映画だが存在意義は十分

『学校』(映画)_b0189364_18133310.jpg 山田洋次が描いた夜間中学の実態。
 『こんばんは』の見城慶和先生が一部モデルになっているらしい。93年に公開されてヒットし、夜間中学の存在を世の中に知らしめた作品でもある。日本語の読み書きができないまま大人になった人々や、中学に通えなかった人々が、中学校(あるいは小学校)の学習課程を履修できるようにする機関、それが夜間中学である。現在その必要性が高まっていることもあり、文科省も各県に1校設けることを目標にしていると聞く。そういう動きを推進した映画として画期になった作品と言って良い。
 ただし映画の中身ということになると、最後まで通して見られる作品ではあるが、随所に安直さというか安っぽさを感じる。舞台は、卒業式を間近に控えた夜間中学の授業であり、それぞれの生徒(7人)のこれまでを振り返るという回想形式のドラマになっているんだが、この種の回想形式自体、ともすれば安っぽくなりがちである。スチール写真からして作り物風で安っぽさを感じるようなものだったため、見る前からある程度は想定できたが(だから今まで見なかったんだが)、そういう点で予想に違わない作品だった。それに案の定、話が過剰に理想化されているのも引っかかる部分で、フィクションだから仕方がないと言われると確かにそうだが、もう少し抑えの効いたストーリーにできなかったのかとも思う。
 とは言え、先ほども言ったように日本の教育において大きな画期になったのは間違いなく、おそらく山田洋次の意図もそのあたりにあったのではないかと思うんで、映画として安かろうが、存在意義は十分にあるとは思う。
第48回毎日映画コンクール日本映画優秀賞他
第17回日本アカデミー賞最優秀作品賞他受賞
★★★

参考:
竹林軒出張所『こんばんは(映画)』
竹林軒出張所『学ぶことの意味を探して(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『本当は学びたい(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『みんなの学校(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2019-02-13 07:13 | 映画
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